・いたんだもん唐木:脱法スーパーの話ししたっけ?
森:してないよ! 何その珍しい単語の組み合わせ(笑)。
唐木:フラッシングっていうチャイナタウンにある時期、偽物のマツキヨが4店一気に出来て。品揃えはほぼ一緒なんだけど1店だけ明らかにおかしかったんだよ。まず爆発的に安い。ほとんどの商品の賞味期限が切れかけてるか切れている。あと、絶対売っちゃいけないものを売ってるの。
西村:LOとか?
一同:(笑)。
唐木:LOレベルにアメリカではNGなもの。わさビーフが普通に置いてあるんだよ。アメリカでわさビーフ手に入れようと思ったらシャブよりはるかに苦労するからね。
金子:なんでだめなんですか?
唐木:牛肉の成分が入ってるから。狂牛病騒動以降、あらゆる牛肉製品が輸入禁止になってるんだよ。
澤部:あー! 牛肉エキスとか!
唐木:日本人の間で「ヤバい店がある」って情報が回ってきて俺も駆けつけたんだけど、3回目に行った時にはただの偽マツキヨになってて。全部幻だったのかなって。
森:何買ったの?
唐木:レトルトの坦々麺とか、わさビーフ、湖池屋スコーンやみつきバーベキュー味。でも行ってない人に話しても、誰もそんな品揃えの店があったって信じてくれないんだよ。
西村:トトロみたいな(笑)。
一同:(笑)。
もち:いたんだもん!(笑)。
森:ほんとにわさビーフいたんだもん!(笑)。
唐木:だからね、偽マツキヨは一部在米邦人の心の中にだけ住んでるんだよ。子どもに「わさビーフ売ってたんだよ」って言っても「そんなわけないじゃん!」て言うもん(笑)。
一同:(笑)。
澤部:お父さんのうそつき!(笑)。
・主にアリ森:朝一は相変わらずYouTubeばっか見てるの?
金子:まあそうですね。
森:パルクール失敗する動画?
金子:見てないですよ(笑)。
森:あと高速餅つきのタイミングがずれる動画。
澤部:おもちが桃色になっていくやつね(笑)。
金子:ないでしょそんな動画(笑)。
森:あとビフォーアフターのビフォーだけ集めた動画。「おばあちゃんが押し入れに頭を入れて寝る家」、「命懸けで風呂を沸かす家」(笑)。
一同:(笑)。
西村:あと大学生YouTuberの挨拶のシーンだけ集めた動画ね(笑)。
金子:見てないですよ! 人をなんだと思ってるんですか(笑)。
玉木:で、何見てるの?
金子:主にアリの動画ですね……。
一同:(笑)。
金子:アリの巣作りの動画とか、アリの生態、観察キットを使ってる人の動画とか。
西村:飼いたいの?
金子:別にアリは好きじゃないんです。なんか見てるとととのうんですよ。
大臣:目グルグル回して?
一同:(笑)。
森:なんでアリ動画に行き着いたの?
金子:なんか突然YouTubeのおすすめ欄にアリばっかり出てくる様になって。
森:なんでそんなことになるんだよ(笑)。
唐木:お前はアリでも見てろと(笑)。
金子:アリの巣の中に溶かした金属を流し込んで型を取る動画もずっと見ていられますね。
森:アリが好きな人は絶対見ないタイプの動画もちゃんと見てる(笑)。
金子:アリ関連ならなんだっていいんですよ僕は結局。
森:そっかー。なんかちょっと湿っぽくなっちゃったね。
大臣:切り替えていきましょう。
・今年も色々あったけど澤部:「世界最大のかりんとう ギネス記録に認定」、これなんなんですか?
森:これはもうね、
「世界最大 かりんとう」で画像検索してみてください。
一同:(爆笑)。
西村:ドラゴンの糞じゃないですか!
tofu:笑いすぎて腹が痛い(笑)。
森:よくこんなもんの前で真面目な顔して写真撮れるよね(笑)。
唐木:企画段階からさ、どうなるか想像つくじゃん!
森:おっきいかりんとう作ったら何に見えるか気付けよな! ほんと笑っちゃったよ。澤部くん笑いすぎて泣いてるじゃん(笑)。
一同:(爆笑)。
森:おっきいうんこがおもしろすぎて泣いちゃった(笑)。
大臣:怖かったね〜、大丈夫だよ〜。もういないよ〜。
一同:(爆笑)。
澤部:だめだもう呼吸ができない(笑)。ドラゴンの糞って(笑)。
西村:ダンジョン飯があるならダンジョン糞もある(笑)。
森:いやもう単純にうんこが一番おもしろいよね。
西村:今年も色々あったけどやっぱりうんこが(笑)。
唐木:すごいね。中年が7〜8人揃ってさ、結局一番おもしろいのはうんこだって(笑)。
森:夜中に涙流しながら巨大なうんこみたいなかりんとうの画像を見てる(笑)。
一同:(爆笑)。
駆け足で家路に着いたTJNYたち。中には大きいうんこの話に夢中になったせいで終電を逃す30代もいるだろう。目の前に訪れた想像も付かなかった未来は、不思議と懐かしい匂いがした。友人たちを見送り、ふりかえり様にさすまたを足に引っ掛けると、床に叩きつけられたスプリングがビョンビョンと震え、JC-120が倒れた時と同種の音が雑談の余韻と重なって部屋に響き渡った。Echo/Reverb、つまりこだま/ひびき。こだまの親指のみならず、ひびきの眼鏡までが鮮明に瞼に浮かぶ。いい自由律が詠めそうな材料が揃ったが、スピりの接近を危惧してバネの振動を手の平で握り込む。起床した鶴太郎が朝食に大量のフルーツを摂取している時間だ。オノマトペ大臣がサウナに行くまであと3時間半しかない。それぞれの日常を抱えて地球は廻り、公転は次の一周へ。薄暗かった2021年に、おめでたいニュースで光を差してくれたスカート澤部氏と例の仮面の占い師に幸あれ。2021年度のトーベヤンソン・ニューヨーク・アワードを受賞したのは、「安全さすまたスプリンガー(三和製作所)」です。(森)Illustration by Tsuchika Nishimura森 敬太
京都府生まれ、デザイナー/アートディレクター。書籍、CDなどの装丁を多数手がけながら、2011年から自主制作漫画レーベル「ジオラマブックス」を主宰、漫画誌「ユースカ」を発行。2017年、合同会社飛ぶ教室を設立する。Instagram :
@m_o0_ri