sumikaがオンラインで魅せた3日間、さいたまスーパーアリーナ公演をレポート

【DAY1】

初日は、アリーナツアーの全公演日程の振替公演として、「sumika Online Live -Daily’s Lamp-」として作り上げた世界観を表現。映像はオレンジの火が灯るランタンのアップから始まり、次第にカメラが引いていくと、眩いサーチライトがさいたまスーパーアリーナの無人の観客席を照らした。一瞬の暗転後、紗幕越しに大きく手を掲げるメンバーのシルエットが映し出され、<ラララ>というハーモニーとともに幕が下り、のちのMCでヴォーカル&ギターの片岡健太が「ツリーハウスじゃなく、木に家をぶっ刺してくださいとお願いした」という7件の家が連なる大木を背にしたバンドが登場し、真っ直ぐに前を向いて進んでいくんだという意思が込められた「センス・オブ・ワンダー」でライブは勢いよくスタートした。

「ふっかつのじゅもん」ではチャット欄に<へい!>という掛け声が飛び交い、「配信だろうと構わない。ひと花咲かせにやってきました!」と叫んだ「Flower」、「直接会えないのはめちゃくちゃ残念なんですけど、形は変えても気持ちはちゃんと伝わると思ってます」と語りかけた「カルチャーショッカー」や「Lovers」では画面越しのオーディエンスの心と身体を踊らせ、絵文字によるクラップで大きく盛り上がった。



MCではアリーナツアーの全公演を中止し、生配信という形でライブを届ける選択をした経緯を説明。「生のライブが見たいからチケットを払い戻しをしたという方の選択も最大限に尊重します。だけど、こうして生配信を見る選択をしてくれた人のことを絶対に間違ってないと言い切りたい。絶対に正解ですと言い切れるライブを約束します」と宣言。続く、アニメ「MIX」のOP主題歌「イコール」の<ディスプレイ越しの温度じゃ足りないよ>というフレーズと、ギターの黒田隼之介のメロディアスなソロには、sumikaが現在、抱えているもどかしくも切実な思いが込められているようで、胸に迫るものがあった。ドラムの荒井智之のブラシから始まり、ジャジーでセクシーな「Strawberry Fields」、見つめることしかできない切ない恋心を描いたウインターラブソング「願い」を経て、医療従事者や音楽ライブ関係者の支援のために創設した基金「Dress farm 2020」のためにキーボード&コーラスの小川貴之が作曲した「晩春風花」では、桜の花びらが舞う中で、チャットながらも<ラララ>のシンガロングも巻き起こった。

ここからの転換もそのまま見せ、アコースティックギター、ピアニカ、カホーンにヴォーカルというアコースティック編成で「アネモネ」「ここから見える景色」をパフォーマンス。彼らと同じ部屋の中にいるような温かく親密なムードで満たし、ピアノとヴォーカルのみというミニマルなアレンジとなったラブバラード「溶けた体温、蕩けた魔法」を歌い終えたところで、後半戦へと突入。熱気と興奮を一気に上げていく楽曲が続くが、映画『ぐらんぶる』の主題歌「絶叫セレナーデ」や初披露となる「Late Show」では、「もう一回やっていいですか?」と珍しく演奏をやり直す場面もあった。片岡は「トラブル続きだぜ。とんでもなくライブ感あるな。だって緊張するんだもん。やっぱりあなたがいないとダメよ。知ってたけど、気づいちゃったわ。やっぱ会いたいです」と正直な気持ちを吐露。改めて、今後も配信や人数制限のある有観客ライブなど、さまざまな形でのライブを提案していくことを告げ、「いろんな形で楽しんでもらえるように、僕らは変わらずにsumikaの扉を全開にして、お帰りなさいという準備をして待っています。いつでも帰ってこれるような家で居続けるぞという約束をして、今日は終わりたいと思います。出会ってくれてありがとうございました。sumikaでした」と挨拶。「雨が降っても槍が降っても辞めない覚悟」を込めた「雨天決行」で始まりと反撃の合図を高らかに鳴らし、「2020年に見つけた、2021年に伝えたいこと」を込めた「本音」で<ありがとう>という感謝の気持ちを全力で届けると、「元気でいてよね。また必ず会いましょう」と再会の約束をし、全18曲で約2時間に及んだライブを最高の笑顔で締めくくった。

Rolling Stone Japan 編集部

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE