米女子学生不明事件、24年前の謎を解き明かすのはポッドキャストの司会者

スマート家との出会いが繋ぐ出会い

その日から、ランバートとスマート家は親しくなった。ランバートはストックトンに住む一家を訪ね、ポッドキャストの第1回目では、水泳が大好きで、ビーチをこよなく愛したクリスティンについて長々と語り合った。ランバートは一家に彼女の友人や高校時代のクラスメートを紹介してもらい、さらに取材を行った。「今回のことで最高の出来事でした。ご家族と真の友情を築くことができたんです」と本人も言う。

友人や家族、地域住民に話を聞くうちに、ランバートはその後ポッドキャストで詳しく語られることになる、不穏な匂いを嗅ぎつけた。ポール・フローレスと同じ学校や職場にいた複数の女性が、彼の飲酒癖やしつこく、あからさまに言い寄られたときの話をしていたのだ。2016年、フローレスから暴力または性的暴行を受けたという4人の女性がオンラインマガジンDaily Beastに名乗り出た。そのうちの1人、ローラという元恋人にランバートが話を聞くと、フローレスは暴力的で、一度顔の前にバターナイフを突き付けられたと話した。ランバートは他にも13人の女性から、フローレスから暴力行為や嫌がらせ、性的暴行などの被害を受けたと聞いた。

ランバートはこれまでに2度、フローレスとの接触を試みた。サンペドロにある自宅の前で8時間、車の中で待ち伏せしたこともある。「やるだけやってみよう、でないときっと後悔すると思ったんです」と彼は言う。「それで家の前で待ち伏せました。玄関まで行って、『一生そうやって生きていくつもりか?』と言ってやろうかとも思いました」。フローレスの携帯電話にかけたこともあったが、誰も出なかった。

フローレスの沈黙にもかかわらず、今もランバートはいつか誰かが名乗りでて、点と点を繋いでくれるだろうと望みをかけている。「実際、(僕のポッドキャストで)みんながクリスティンのことを再び話題にするようになりました。保安局も、いいことだと言っています」とランバート。「警察との関係に支障が出るんじゃないかと、少し心配だったんです。秘密裏に捜査を進めていたのに、知らない男が現れてあれこれ話し始めて地域全体が怒りに燃え、答えを求めるようになったんですからね」

サンルイスオビスポ郡保安局とFBIはローリングストーン誌の取材には応えなかったが、保安局はランバート、報道陣いずれの取材でも、ポッドキャストのおかげで事件が進展したと語った。

「クリスが制作したポッドキャストはよく出来ています」と、イアン・パーキンソン保安官はラジオ局KVEC 920AMとの最近のインタビューで言った。「事件を広めることで、情報を持っている人が名乗り出るように(説得)してくれました。大きな価値があると思います」

Translated by Akiko Kato

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