軍用機器を製造する米GE工場、命を守る従業員と利益優先の経営陣が衝突

GEの応対

GE側は、リンをはじめとする航空部門の工場を再編して人工呼吸器を製造する案などについては応えなかった。先日発表した声明では、医療部門での人工呼吸器を増産するべく「不眠不休で対応に当たっている」とし、フォード・モーター・カンパニーと協同で100日間で5万台製造すると豪語した。アメリカ病院協会はこの危機で今後96万人が人工呼吸器を必要とすることになると推測しており、パンデミックは今月にもピークを迎えると見られている。

GEは安全な職場と国を救うための仕事を求める従業員の要求に応える代わりに、今回の危機に乗じて製造部門を非労働組合の工場に移すつもりではないか、とカジンスキー氏は恐れている。「これは災害資本主義です」とカジンスキー氏。「会社が今の従業員から仕事を奪うつもりなら、自分たちの世界観を世の中の人間全員に説明しなければいけなくなるでしょう」

一方で、今も職場に残っている従業員は現在進行中の危機に怯え続けている。

この数週間、リンの工場では少なくとも5人の従業員が病に伏した。施設から感染者が出る度に残る従業員は駐車場に並ばせられ、有給を消費し経営陣と面談する。次のシフトに入っている従業員もほとんどが病気休暇を取る。

組合は現在、体調が優れない従業員を確実に隔離し、新たな感染者がいればそれ以上広がる前に発見できるようにするため、工場を2週間完全閉鎖するよう求めている。今のところ、会社側はその必要はないと返答し、代わりに週末出勤を中止して、工場を噴霧消毒すると約束した。

「GEの2019年度の売上は950億ドル。我々のためにそれ(2週間の工場閉鎖)をすることはできるはずです」とカジンスキー氏。「(代わりに)会社はゴーストバスターに工場をスプレー消毒させて、全部うやむやにするつもりなんです」

そうした対策の時期はすでに過ぎた、とカジンスキー氏は言う。「会社は重い腰を上げるのが遅過ぎました。もう我慢できません。我々には人助けの準備ができています」

唯一の問題は、上層部にもその準備ができているかどうかだ。

・アメリカ中で賛成の嵐「国民の生活が崩壊する前に一律現金支給せよ」



Translated by Akiko Kato

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE