ヴィンス・ステイプルズ、創造力の秘訣を語る「50歳にもなってラップするなんてまっぴら」

クリエイティヴィティに場所や時間は関係ない

―では、生活しながらも常に何かに刺激されて新しいプロジェクトに挑戦している、という感じ?

そうかもしれない。俺にとっては、新しいことにチャレンジするって全然つらいことじゃないから。自分のキャパシティやものの見方に従って、常に音楽を作ったり何かをクリエイトしたりしている。だから自分がどれだけクリエイティヴでいられるか、そういう意味でオープンな状態でいられるようにするってことが大事だと思う。もちろん、間違いだって犯すしいつもパーフェクトな状態じゃない。でも、そうい続けることによってクールな作品が出来ていくんだと思う。

―前作のアルバム『FM!』は地元であるロングビーチに捧げる、という内容でしたが、ご自身にとってロングビーチとはどんな場所でしょうか?

いい場所だよ。結構静かだし、食事も美味い。とにかく駐車場が足りてなくて、カモメ問題もあるな。俺は「スカイ・ラット(空飛ぶネズミ)」って呼んでるんだけど、あいつらがどこにでもいる。小さい街だし、みんな知り合いって雰囲気だよ。ラップ・レジェンドもたくさんいて、スヌープ・ドッグにネイト・ドッグ、他のドッグズもみんなロングビーチ出身だし、ウォーレン・Gもいる。他にもサブライムやキャメロン・ディアスまでいるからな。



―どんな子供時代を過ごしていましたか?

子供時代はみんなと変わらないと思う。学校に行って、誕生日パーティーをやって……みたいな。でも、ロングビーチで過ごした子供時代が、確実に今の自分のものの見方にも影響を与えていると思う。

―ちなみに、一番最初に買ったヒップホップのCDが何だったか覚えていますか?

ヘル・ノー! 覚えてないよ。でも、(カニエ・ウエストの)『Graduation』だと思う。母親がクリーンな内容だと思って、ウォルマートで買ってくれたんだ。実際、カニエはカース・ワードを使いまくってるんだけど。だから、聴いている時に母親が部屋に入ってきたらCDを途中でストップしてたよ。



―最近、新たにYouTube上で「The Vince Staple Show」をスタートしていますよね。まだ「So What」と「Sheet Music」の2エピソードしか公開されていませんが、今後もとても楽しみです。一体どんな目的でスタートしたものなのでしょうか?

『FM!』は、インタールードやスキットを外したらわずか7、8曲で構成されているアルバムで、俺にとってはEPの拡大版って感じだった。ボリュームは少ないけどコンセプトがしっかりしていたし、お世話になった人々やアーティストたちに対して自分の感謝を示すような内容になっていたから、高い評価も得られたんだと思う。つまり、『FM!』は目的がはっきりしていたんだ。対して「The Vince Staple Show」は目的なくスタートしたもの。“何か”に対する憧れの気持ちを形にしたっていうか。だからもっとシンプルな形の表現なんだよね。しかもつい最近になって着手したプロジェクトでもある。最初にアイデアを思いついたのは半年くらい前かな?







―「The Vince Staple Show」のディレクターを務めるのは、かつて「Fun!」のMVも手掛けたカルマティック氏で。


カルマティックが本当に素晴らしいヤツでさ、彼の世界観はとにかく最高なんだよ。今ではリル・ナズ・Xの「Old Town Road」のMVを手掛けてるし、アンダーソン・パークの「Bubblin’」やリゾの映像なんかも手掛けてる。彼は今、子供が産まれたばっかりでダディ・モードになってるね。

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