スコセッシ製作『ローリング・サンダー・レヴュー』を事実検証

マーティン・スコセッシの新作ドキュメンタリー『ローリング・サンダー・レヴュー:マーティン・スコセッシが描くボブ・ディラン伝説』では真実とフィクションが混在している(Ken Regan/Netflix)


4. ジャック・タナー議員は実在しない

映画の終盤に、ミシガン州の議員と思しきジャック・タナーが、ナイアガラの滝でのローリング・サンダー・レヴュー公演を実現するために、自分が持っていたジミー・カーターのコネを使ったと話す場面がある。ジャック・タナーを演じているのは俳優のマイケル・マーフィーだ。役名のジャック・タナーは、ロバート・アルトマンがミシガン州の選挙戦の裏側を描いた1988年のモキュメンタリー『Tanner ‘88』から。この作品の脚本はギャリー・トゥルードーである。

5. ジム・ジアノプスはこのツアーを宣伝していない

ジム・ジアノプスは数多くの偉業を成し遂げた男だ。制作会社フォックス・フィルムド・エンターテイメント社に共同議長として12年間勤務し、現在はパラマウント・ピクチャーズのCEOだ。しかし、彼はローリング・サンダー・レヴューの宣伝は行っていなかった。当時の彼はフォーダム大のロースクールに在学していた。ただ、この作品で見せた彼の演技は驚くほど上手である。

ここまで挙げたフィクション要素は、決してこのドキュメンタリーの魅力を削ぐものではない。この物語はこれまでも多くのメディアに取り上げられ、何度も語られてきたのだから、未公開のレア映像で作られたでキュメンタリーに多少のフィクションが混じった方が面白さも増すというものだろう。「映画の中に隠されているさまざまなイースターエッグを見つけるために、みんなが何度もくり返し観てくれることを期待している」と、ディランに近い関係者がローリングストーン誌に語ってくれた。「ドキュメンタリーの記録映像というものは、語りたいストーリーに応じて映像作家が自由に使うことが可能だ。この作品のどこに楽しさを感じるのかを、観る人それぞれが見つけてくれることを願っている」と。

Translated by Miki Nakayama

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