パール・ジャム『Vs.』 あなたが知らない10の事実

パール・ジャム:1992年撮影(Photo by Paul Bergen/Redferns)



4. 「ゴー」の原型は、キャンプファイヤーを囲んだジャムセッションから生まれた

アブラジーズがパール・ジャムに在籍した期間は短かったが(音楽性と人間性の不一致を理由に、彼は1994年8月にバンドを解雇されている)、冒頭を飾る「ゴー」を筆頭に、彼のドラムは『Vs.』において不可欠な要素となっている。

レコーディング期間中のある夜、メンバーたちがキャンプファイヤーを囲んでいたとき、アブラジーズが何気なく手にしたアコースティック・ギターを弾き始めると、他のメンバーたちが次々に加わっていった。「あのとき俺がギターを手に取ったのは、もしかすると運命だったのかもな」。彼はModern Drummer誌にそう語っている。「まずストーンが入ってきて、次にジェフが加わった。エディが歌い始めたときには、もう曲になってたんだよ」。



「ドラマーが弾いたギターリフから曲が生まれるなんて、なかなかレアだよな」。ギタリストのマイク・マクレディは本誌にそう語っている。「でも最高にクールなリフだった。その日のうちに全員で少しアレンジして、翌日にはもうスタジオでレコーディングしてたよ」


5. 「グロリファイド・G」はデイヴ・アブラジーズの銃にインスパイアされて生まれた

スターダムを存分に謳歌していたアブラジーズは、ヴェダーとはまさに正反対の存在だった。両者のスタンスの違いからくる摩擦は『Vs.』のセッション開始直後から表面化していたが、アブラジーズが銃を購入したことをアメントから聞かされたヴェダーは、彼に対する憤りを露わにした。



「銃を買っただと?」。ヴェダーは困惑した様子で声を張り上げたという。「あぁ、しかも2丁な」。アブラジーズはそう答えたが、さすがにまずいと思ったらしくこう付け加えた。「空気銃をパワーアップさせた程度のやつさ」。ヴェダーがそんな説明に納得するはずはなく、彼は直後にその憤りを歌詞にしたためている。「銃を買ったんだ しかも2丁な / 心配すんなよ 俺は神の信仰者だ / 空気銃にちょっと手を加えた程度のやつさ / 持ち歩いてるだけで男らしい気分になれるんだ」。アメントとゴッサード、そしてマクレディの3人によるジャムセッションに合わせてヴェダーがそう歌った瞬間、「グロリファイド・G」の原型が誕生した。

6. 「W.M.A.」は横暴な警察に対する憤りから生まれた

『Vs.』のライナーノーツにおける「W.M.A.」のリリックが記されたページには、アフリカ系アメリカ人のモーリス・グリーンが、1992年11月にデトロイト市警との衝突の末に命を落とした事件の記事が掲載されている。しかしヴェダーは同曲の歌詞について、彼が目の当たりにした警察の横暴ぶりに対する怒りを表していると語っている。

「前日にリハーサル・スタジオに泊まり込んでた俺は、何日もシャワーを浴びてなかった。歯もロクに磨いてなかったと思う。そんな状態で、俺は薄汚れた靴を履いて出かけた」。彼は1994年にメロディー・メイカー誌にそう語っている。「ベンチに座ってた俺の隣には、俺よりも肌の色の黒い男性がいた。するとどこからともなく、自転車に乗ってイキがった警察官が何人かやってきた。俺らの目の前に立ちふさがると、やつらはその男性に言いがかりをつけ始めた」。



「そのときの俺に比べたら、彼ははるかにまともな身なりをしてた」。彼はそう続けている。「だがやつらは俺のことは完全に無視し、その男性を攻撃し始めた。その理不尽さにムカついた俺は、思わずやつらに突っかかっていった。スタジオに戻ってからも怒りが収まらなくて、俺はその足でレコーディング・ブースに入り、感情にまかせてヴォーカルを録った。あの曲はそうやって生まれたんだ」。

Translated by Masaaki Yoshida

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