パール・ジャム『Vs.』 あなたが知らない10の事実

パール・ジャム:1992年撮影(Photo by Paul Bergen/Redferns)



1. メンバーたちは毎日、レコーディング前にソフトボールをしていた

自身が優れたミュージシャンでもあるオブライエンは、メンバーたちがファンやレコード会社の期待という重圧から解放される時間を設けようとした。「誰もが大きなプレッシャーを感じてた」。彼は2013年に本誌にそう語っている。「無名だったバンドが、あっという間にシーンの頂点に上り詰めたわけだからね。そういう状況下で俺がやるべきことは、とにかく彼らをその気にさせることだった」。

北カリフォルニアのマリン郡にあるSiteスタジオで『Vs.』をレコーディングしている間、メンバーとオブライエンは毎日ソフトボールに興じていた。「朝からやろうって俺が呼びかけたんだ」。バンドのドキュメンタリー『PJ20 パール・ジャム トゥエンティ』で、オブライエンはキャメロン・クロウを相手にそう語っている。「『じゃあ明日の9時30分にキッチンに集合だ。軽いミーティングの後は、いつものようにソフトボールをやろうぜ』みたいな感じでね。あの習慣はしばらくの間続いた。そんなふうに遊ぶ時間を設けることで、チームの士気を高めようとしていた」。

2. レコーディングは1曲ずつ進められた

90年代のロックバンドのレコーディングでは、全曲のリズムトラックを先に録り終え、あとから他の楽器やヴォーカルを重ねていくという方法が主流だった。しかしオブライエンとメンバーたちは、曲を1曲ずつ仕上げていくことにこだわった。

「メンバーがクリエイティビティを発揮できる環境を作ること、それが俺の仕事だった」。彼はクロウにそう語っている。「Siteに泊まり込み、曲を一つずつ完成させていくことにしたのは、常に目の前の課題にフォーカスするためだった」

「あれはいいアイデアだった」アブラジーズはModern Drummer誌1993年12月号でそう語っている。「レコーディングでは全曲のリズムセクションを先に録って、次にギター、最後にヴォーカルっていうやり方が一般的だ。だからヴォーカルを録る段階になると、ドラマーは既に曲を聞き飽きてしまってるもんなんだよ。でも1曲ずつ仕上げていったことで、最後までメンバー全員がモチベーションを保つことができた。あのやり方は他のバンドも見習うべきだと思うね」。

3. ヴォーカルのレコーディング前、エディ・ヴェダーはしばしば所有するトラックで寝泊まりした

ヴェダーは後年、『Vs.』について「レコーディングに最も苦労したアルバム」と語っている。その理由の一つは、セッションに利用された豪華なスタジオSiteが都市部から遠く離れており、その環境が歌詞を書く上で悪影響を及ぼしていたためだった。「俺はここが大嫌いなんだ」。レコーディング期間中、彼は本誌にそう語っている。「こんなところでロックのアルバムを作ろうなんて、どうかしてると思うね。往年のバンドにはぴったりなのかもしれないけどな、快適でリラックスできるからさ。ディナー用の音楽を作ってるような連中にはおあつらえ向きだ」。

歌詞を書く上で気持ちを集中させるため、ヴェダーはしばしば自身の運転するトラックでサンフランシスコに向かい、そのまま車中泊していたという。レコーディングに臨む上で、彼はそうして自身を鼓舞する必要があった。

「エディーが(Siteを)あんなにも嫌うとは、誰も考えもしなかった」。オブライエンはクロウにそう語っている。「ストーン(・ゴッサード)がバスローブにスリッパっていう姿でウロウロしてるのが、エディは我慢ならない様子だった。あとは歌を入れるだけっていう状態の曲がいくつかあるときに、彼はしばらくしたら戻ってくるとだけ言ってどこかに行ってしまった」。

Translated by Masaaki Yoshida

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