1967年、ピンク・フロイドはデビュー・アルバム『夜明けの口笛吹き(原題:The Piper at the Gates of Dawn)』のレコーディングのため、アビー・ロード・スタジオに籠もっていた。すぐ隣では、ザ・ビートルズがアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のレコーディングを行っていた。「僕らにとって彼らは神のような存在だった」とメイスンはファブ・フォーについて語った。フロイドのメンバーは、ビートルズが『ラヴリー・リタ』をレコーディングする様子を見学している。コントロール・ルームのバレットと仲間たちは皆一様に実験的な楽曲制作の衝動に駆られ、ファースト・アルバムに収められたインストゥルメンタル2作品の最初の1曲『パウ・R・トック・H』に反映されている。同曲には、当時はまだ珍しかったビートボックスやユニークなヴォイス・エフェクトが使われている。しかしメインとなるメロディは、ライトによるピアノのインプロヴァイゼーションで、その後のよりテンションの高い幻想的なオルガンへと続く。