アーティストの世界観を構成する「本と音楽」の関係にフォーカスするこのコーナー。今回登場するのは、シンガーソングライターの大橋ちっぽけ。昨年12月、テレビ東京系で放送された番組『エンタX」内のオーディション企画に登場し優勝、2018年3月のグランドチャンピオン大会でも見事優勝を果たした若き逸材だ。6月6日にリリースされた初の全国流通盤『僕と青』でも、透明感をたたえたサウンドと歌唱で聴く者を魅了する。そんな彼が大好きだというマンガについて、実体験を交えながらいろいろと語ってくれた。※この記事は6月25日発売の『Rolling Stone JAPAN vol.03』に掲載されたものです。ー最初に読んだのはどの作品ですか?大橋
『こち亀』は、物心ついた頃から父のマンガが家にたくさんありました。それをなんとなく読んで、面白いなと思って。 あと僕が風邪をひいたときに、親がよくアニメのDVDを借りてきてくれたんですよ。それがきっかけで、
『ボーボボ』や
『ジャガー』を読むようになって。ワケわからないけど面白いなと(笑)。 最初にハマったのは
『遊☆戯☆王』です。幼稚園のとき、アニメを観てカッコいいなと思って。マンガを読むようになってからは『遊☆戯☆王』を題材に、オリジナルのマンガを描いて弟と見せあったり。とはいえ、ストーリーものよりもギャグマンガが好きだった。本当は面白いことをむっちゃ言いたいし、そういうところがあるタイプの人間だって言いたいんですけど(笑)。
ーこの中で一番思い入れが深いマンガは?大橋 うーん……やっぱり
『バクマン。』。誰でもデカい夢を持っていいんだって、そういう意味で一番印象深いマンガです。主人公と境遇は違うけど、頑張れば叶うものかもしれないなと思ったし、いま音楽をやっていて、まだまだ新人中の新人なんですけど、事務所とかレーベルさんとのやり取りも、もしかしたら『バクマン。』の中のやり取りに通じるものがあるのかなとか。
もともとはマンガ家になりたくて、『バクマン。』を読んでさらに、こういうの描きたいって思うようになってました。小中学生の頃に画材もいっぱい買って練習してたんですけど、結局気づいたらギター始めてた(笑)。
ー最近読んだものは?大橋 ちょっと前に読んだ
『富士山さんは思春期』です。甘酸っぱいですよね。中学生の頃に恋愛していたらこんな感じだったのかなって。
ーマンガだけじゃなく、星野源『そして生活はつづく』も挙げてますよね。大橋 1年前から一人暮らしを始めて、親がお米とかを送ってくれた中にこれが入ってて。たぶん、母は僕に星野源さんになってほしいんだと思う(笑)。タメになるわよとか言ってたし、ドラマの『逃げ恥』もめっちゃ観てたからだと思うんですけど(笑)。じゃあゆっくり読むかと思って。星野源さんの曲、皆さんも知ってるような曲はきれいな曲や美しい曲が多いと思うんですけど、本の内容はわりとくだらないことを自由に書いてたりして、こういうのを出せるっていいなって。
ー大橋さんの繊細な印象からすると「ギャグ好き」っていうのはギャップがありますね。大橋 昔から自分をさらけ出すのが怖くて。実は今も怖いんです(笑)。本当に、小さいときに好きだったのは、『ジャガー』とか
『SKET DANCE』とか。今でも自分の中にはそのノリがあるんですけど、いい加減大人にならないといけないのかなって。たぶん、テンション高い姿って家族も知らないと思う(笑)。本当に限られた友達となんですけど、すっごいくだらないことを言うんですよ。……これ話すのめっちゃ恥ずかしいな(笑)。例えば、悲しいの「しい」を英語にして……「悲A」「悲B」、あえてCを飛ばして「悲D」って言うみたいな、そういうのがめっちゃ好きで(笑)。その感覚って、やっぱりこういうマンガからの影響ですね。