もふくちゃんが語る、プロデューサー目線で見た今どきのバンドとアイドル

もふくちゃん(Photo by Rolling Stone Japan)

先日終了したテレビ東京系列の番組「エンタX」では、次世代を担うアーティストの発掘を目的に、さまざまなジャンルのミュージシャン/YouTuberが毎週登場、およそ半年間に渡って生演奏の音楽バトルを交わしてきた。今回は長く審査員を務めた一人、もふくちゃんにインタビューを実施した。

「エンタX」の勝敗を決するのは、“どちらが売れそうか”という単純明快なジャッジ。そんな番組の終幕を盛り上げるべく、3月7日放送回から開幕したグランドチャンピオン大会では、番組に出演した総勢26組のアーティストの中から勝ち上がった6組が初代チャンピオンの座を競い合った。その結果、大橋ちっぽけが見事チャンピオンに輝いた。

もふくちゃんは、でんぱ組.incやわーすた、虹のコンキスタドールをはじめとしたアイドルグループのプロデュースを多数手がけ、秋葉原カルチャーを牽引してきた中心人物の一人である。そんな彼女が半年にわたって見てきたバンドの姿、そしてアイドルとの違いとは?

「バンドのピュアさを見て、忘れかけていた昔の気持ちを思い出しました」

―「エンタX」の審査員、約半年間おつかれさまでした。アイドルのオーディションと比べて、今回のバンド審査はどんな感想を持ちましたか?

もふくちゃん:アイドルは、たとえ歌がヘタでも一つだけ光るものがあればいいとか、パーソナリティをすごく見ます。でもバンドの場合は、いろんな要素が含まれますよね。演奏力、作曲力、メンバーの雰囲気。バンドは最初からそういうものを持っていないと成り立たないわけで。アイドルだったら周りのプロデュースで後から付加価値を持たせてあげることができる。バンドの人は自分たちで全部やらなくてはいけないから、考えることが多くて難しいと思うんです。審査をやらせてもらって、バンドの子たちは本当にみんなピュアだなと感じました。「売れたいです!」っていう目標がハッキリしてるし。それこそ昔、私がでんぱ組.incを立ち上げた頃は、アイドルの方がギラギラして「売れたいです!」って主張がハッキリしていて、それが面白かったんですよ。その熱がムーブメントになってアイドルが盛り上がった。でも今はみんな現実的というか、ちょっと落ち着いてきたなという感じはあって。だから、そんな忘れかけていた昔の気持ちを番組に出たバンドの子たちを見て思い出しました。



―出演してくれたバンドやシンガーソングライターの資料を見ると、皆さんプロフィールに「武道館のステージに立つ!」「東京ドームでライブをやる!」「世界進出!」みたいなことが書いてあって、夢がとにかく壮大ですよね。

もふくちゃん:本当にそう。あと、バンドの子の中でも「もふくちゃん、知ってます」とか「でんぱ組.inc、すごく好きです」っていう人もけっこういて驚きました。昔だったら考えられなかった、アイドルとバンドが並列に存在するってことがこの10年でいよいよ当たり前になったなと思いました。でんぱ組.incを始めた頃は、そもそもアイドルになりたいと言ってる時点で相当な変わり者だったんですよ(笑)。アイドルのムーブメントがなかったから。当時は「アイドルで天下を取りたい!」って言ってる人は少なくて。だけど今はアイドルの成功例がいろいろあって、それらを知った上でみんなアイドルに憧れるわけだから、夢もすごく具体的になってきていて。若い子に多いのは、武道館や東京ドームじゃなくて、WWWでライブやりたいです!みたいな。いや、頑張ればすぐできるよ!って(笑)。

─アハハ。

もふくちゃん:番組に出たバンドのプロフィールを見ると、「俺たちが天下を取る」とか「絶対売れます」とか書いてある子たちもいて、その感じが一時期のアイドル界隈に似てるなと。例えば、ももクロ(ももいろクローバー)ちゃんが出てきた頃、15歳かそこらの彼女たちが「天下を取りに行く」みたいなことをよく言っていて、何これ超カッコいい!と思ったんですけど、今のバンドの世界にもそういうのがあるんだなと思いました。

─番組を通して、その他に何か気になったことはありますか?

もふくちゃん:そうですね。ソングライティングの面で凄いと思わせてくれる人がいなかったので、その点はちょっと残念だったかなと。演奏やキャラクターで突出していても、曲が凄い!っていう人はいなかった。この後、いつかキラーチューンを生み出せるんだろうなって人は何組かいましたけど。

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