デニス・ホッパーが演じた"デニス・ホッパー"とは?
失敗に終わった監督映画『ラストムービー』のメイキング・ドキュメンタリー、『The American Dreamer』(1971)を探る。
シャイア・ラブーフが大ヒット映画の俳優から一転、わけの分からないパフォーマンス・アート系の変わり者に転身し、ホアキン・フェニックスがモキュメンタリー(疑似ドキュメンタリー)でヒゲ面のラッパーになった何十年も前、デニス・ホッパーは独自のドキュメンタリーで自分の価値観を模索していた。この作品は今、再び注目を集めている。
1969年の監督デビュー作『イージー・ライダー』で突然の成功を手にした直後、デニス・ホッパーは、『ラストムービー』で再びその手腕を振るおうとして いた。映画撮影スタッフがペルーの村に滞在し、撮影終了後に危険なスタントを実行しようとする村人を止める映画だ。興行的には大失敗だったが、撮影中に制 作されたドキュメンタリー『The American Dreamer』は素晴らしい出来だ。この映画のブルーレイとDVDが2016年3月の最終週に、アメリカで再発売された。映画の中のホッパーは、自分自 身を大げさに演じながら撮影現場や編集室で楽しくやっている。かなり作為的で、ホッパーには脚本のクレジットが付いた。
「デニス・ホッ パーがデニス・ホッパーを演じているドキュメンタリーだ」L・M・キット・カーソンと共に『The American Dreamer』の共同監督を務めた映画監督兼フォトジャーナリストのローレンス・シラーは語る。「デニス以外は全員リアルだから、彼らについてのドキュ メンタリーだ。デニスは、全てのシーンで自分が何をやっているのかよく分かっていた」