ローリング・ストーンズのリーダーとマーティン・スコセッシが、HBOの新作テレビドラマで70年代ロックシーンの内幕に迫るミック・ジャガーはもう20年も前に、夢のプロジェクトのアイデアを描いていた。ミュージック・ビジネスの数十年にわたる歴史を描く大作映画を作りたい。このヴィジョンを実現させるため、ジャガーはマーティン・スコセッシと、『ボードウォーク・エンパイア 欲望の街』のプロデューサー、テレンス・ウィンターと組むことにした。
仕事を始めてみてわかったことは、物語全体を一本の映画に詰め込むことは無理だということだった。「あまりにも壮大な物語になってしまった」とジャガーは語る。「このところテレビが洗練されてきて、エキサイティングで、作って楽しいメディアになってきているから、我々はこれをテレビシリーズとして制作することに決めたんだ」
その成果である『Vinyl』が、2月からHBOで放送される。舞台は1973年のニューヨーク、物語の主人公は、コカイン常習者、結婚生活は泥沼、会社経営の才能も鈍り始めているレコードレーベル社長、リッチー・フィネストラ(ボビー・カナヴェイルが演じる)だ。カナヴェイル(45)は、役作りをずいぶん楽しんだのだという。まず、『Love Goes to Buildings on Fire』や、レコード業界の栄枯盛衰を描いた『Hit Men』など、この時代の音楽史についての本を読んだ。
加えて、彼曰く「当事者と時間を過ごしてみた」。その顔ぶれは、パティ・スミス・グループのギタリストだったレニー・ケイ、ニューヨーク・ドールスのリーダー、デイヴィッド・ヨハンセンらだ。「警官ものの役作りとはずいぶん違っていたよ」とカナヴェイルは語っている。
Niko Tavernise/HBO