「お前が彼をダメにした」アリアナ・グランデとマック・ミラーに見る、女性が悪者になる恋愛関係

2016年のMTV Video Music Awardsのアフターパーティでのマック・ミラーとアリアナ・グランデ (Photo by Kevin Mazur/WireImage)

マック・ミラーとアリアナ・グランデの破局、そしてミラーの死を経て、アリアナへの批判が絶えない。今なお語り継がれるオノ・ヨーコやコートニー・ラヴなど、男性のふるまいの原因は女性にあるという根強く残る偏見を考える。

不思議なことに、マック・ミラーとアリアナ・グランデの恋愛は2年に及ぶ交際中のほとんど、タブロイド紙に取沙汰されることはなかった。2人の関係が世間の注目を浴びるようになったのは、5月に2人の関係に終止符が打たれた後。破局から8日後、ミラーが薬物摂取のまま運転して交通事故を起こしたこと、さらにその数週間後にグランデが『サタデー・ナイト・ライブ』の出演者ピート・デヴィッドソンと婚約したためだ。

「ハリウッドで起きた、もっとも痛ましい出来事」とは、イライジャ・フリントと名乗るユーザーが5月にあげた、Twitterの投稿だ。フリントは、ミラーのファンと思われるその他大勢のユーザー同様(タブロイド紙の読者も含め)、本人も音楽の中で言及し、公にも認めていた、彼の長年にわたる薬物依存との戦いよりも、フリント曰く、ミューズとして男を支えてきたグランテのような女性が、愛想をつかして他の男に心変わりした事実のほうに心を痛めたようだ。




イライジャ・フリント
@FlintElijah
2018年5月22日

マック・ミラーが愛車のワゴンをブッ壊し、DUI(麻薬等運転)で捕まったのは、アリアナ・グランデが彼を捨てて他の男に走ったせいだ。彼はあんなに愛情を注いで、10曲入りのアルバム『The Devine Feminine』を彼女に捧げたのに。ハリウッドで起きたもっとも痛ましい出来事だ。

アリアナ・グランデ
@ArianaGrande
12:40 AM - May 24, 2018

ばかげてる。自分のためにアルバムを作ってくれたんだから、たとえ有害でも関係を続けるべきだなんて、女性の自尊心や存在価値を貶めているわ。それにアルバムのことも間違ってる(私のことを歌ってるのは「Cinderella」だけ)。私は彼の子守じゃないし、母親でもない。女性はそういう存在でなきゃいけない、と思う必要もない。私はずっと彼のことを気にかけてきたし、彼が薬物を断った時は支えになって、彼が平穏に過ごせるようにと祈ってきた(もちろん、この先もそうするつもり)。でも、男性がトラブルを解決できないからといって、女性を責めたりなじるのはいかがなものかしら。そういうことはもうやめてほしい。

当時、フリントのような意見は他にもあったが、グランデが反論したのはフリントに対してだけだった。当時25歳だったグランデはノートアプリにしたためた長文の中で、薬物依存の患者を恋人に持つことがいかに恐怖に満ちたものだったかを訴えた。彼女はミラーのことをかつて愛した恋人と呼び、彼女の力ではどうしようもない病を抱えた彼の身を心から案じた。

Translated by Akiko Kato

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