映画『スーサイド・スクワッド』で、ハーレイ・クインが最高で最低な理由

ハーレイ・クインが、悪党大集結映画『スーサイド・スクワッド』の最大の魅力かつ、映画が唯一逃した最大のチャンスである理由とは?(Warner Bros. Pictures/DC)

DCコミックの駄作実写映画『スーサイド・スクワッド』で評価できるのは、マーゴット・ロビーの演技力。しかし、彼女を最大限に活かせなかったことはこの映画の最大の失敗でもある。

オーストラリア出身の歌手グレイスがレトロな雰囲気を漂わせて歌う、レスリー・ゴーアのフェミニスト宣言ナンバー『ユー・ドント・オウン・ミー』(63年)のカヴァーが流れる中、シルク・ドゥ・ソレイユの狂った曲芸師のように、独房の柵にぶら下がって登場する女ヴィラン。白塗りの顔でクスクス笑い、計算高くてクレイジーな彼女は、サディストな男たちに翻弄されるキャラクターだ。しかし、男たちに強要されて酸のタンクに飛び込んだ彼女を追って飛び込むほど、彼女を愛している男もいる。また、完全警備の独房の柵を彼女が舐める姿を見物するのが好きだという男までいる(そんな男たちも、彼女が男5人ぐらい簡単に病院送りにできることを承知している)。彼女はバットを巧みに扱うブロンクス出身の女で、道化師の化粧をした死をもたらす破壊神シヴァなのだ。


(C)2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

彼女の名前は、ハーレイ・クイン。ハロウィンで、彼女に仮装したファンを見かけたことがあるかもしれない 。マーゴット・ロビー演じるハーレイ・クインは、『スーサイド・スクワッド』最大の魅力だ。DCエクステンディッド ・ユニバースは、ダークで面白い映画を制作できることをこの悪党アクション映画をもって証明したいと強く願っているが、その狙いは全て演技に反映されている。そしてハーレイ・クインは間違いなく、このキャラクターを台無しにする魂の込もっていないスーパーヒーロー大作映画で、最も巻き添えを食らったキャラクターだといえる。あなたはきっと、この映画の多くの欠点を我慢できるだろう。しかし、この複雑でアイコニックなキャラクター、ハーレイ・クインが台無しにされていることには耐えれないだろう。

Translation by Miori Aien

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