映画『スーサイド・スクワッド』で、ハーレイ・クインが最高で最低な理由

『スーサイド・スクワッド』は噂通りの駄作だ。とはいえ、安定した興行を見込める映画の中で最も最悪な映画というわけではない。米ローリングストーン誌の映画批評で 、悲惨度は2015年夏に公開された『ファンタスティック・フォー』と同レベルだと評価されていたが、それほど悲惨な映画でもない。もっとひどいスーパーヒーロー映画は他にもある。大手スタジオが手がけた『ウォークラフト』や『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』を見に行ったのであれば、あなたは確実にもっとひどい映画に耐えたといえる。もちろん、『スーサイド・スクワッド』が駄作だということに変わりはない。PGー13指定映画のため当たり障りのない内容に落ち着いてしまった点、オリジナリティと刺激の両方を同時に追求しようとした点、ジャレッド・レト演じる洒落た麻薬カルテルのボス風ジョーカーの出演時間がほんのわずかだという点、サウンドトラックが普通である点、ちぐはぐなストーリーラインが漫画本のコマを切り取って順不同に張り付けたもののようだという点が、低評価の主な原因となっている。そしてこれらは全て、100%事実なのだ。もし希望するなら、映画批評サイトの ロッテン・トマトを削除するよう願い出ることもできるだろう。しかし、その怒りをDCとワーナー・ブラザーズへ向けた方が賢明なのではないだろうか。


(C)2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

しかし映画最大の失敗は、ハーレイ・クインと彼女を演じる女優を最大限に活かしきれなかったことだ。アニメ版『バットマン』とベストセラーのコミックでハーレイ・クインを知っているなら、彼女がジョーカーのサイドキックから、"犯罪の道化王子"と手を組む愛人、そしてライターのアブラハム・リースマンの言葉を借りると、「おどけたユダヤ人で、道徳的問題や深刻な欠点を抱えていながら、何百万の人に愛される」ヒロインへと変化を遂げた複雑なキャラクターであることを知っているだろう。しかし映画が、大勢の俳優、キャラクター、続編の方向性やその他のお荷物的要素に苦戦している中で、これら全てのバージョンのハーレイ・クインを表現するのは難しい。マーゴット・ロビーはというと、ハーレイ・クインが映画の切り札的存在で、他の誰よりも衝動的に行動するキャラクターだということと同様に、この事実に気付いている。

Translation by Miori Aien

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