マーシン×Ichika Nitoが語る『Dragon in Harmony』とギターの常識を変える二人の未来

Photo by Takumi Osera

 
ポーランドの天才ギタリスト、マーシン(Marcin)がデビュー・アルバム『Dragon in Harmony』を完成させた。オリジナル曲のほか、様々なジャンルのカバー全14曲を収録。今年5月の初来日公演で共演した盟友・Ichika Nitoに加えて、ポルトガル・ザ・マン、シンガーソングライターのデラニー・ベイリー、ティム・ヘンソン(ポリフィア)を迎えた全14曲を収録している。

本作のリリースを記念して、昨年6月に掲載して大好評だったマーシン×Ichika Nito対談の後編をお届けする。再び実現したコラボレーションの背景や、『Dragon in Harmony』の制作秘話、そして今後の展望について両者に語ってもらった。聞き手は『現代メタルガイドブック』監修・主筆の和田信一郎(s.h.i.)。

【前編はこちら】マーシン×Ichika Nito対談 革新的ギタリストの演奏論、超絶テクは「伝えるためのツール」


夢の共演が再び実現、その裏側

─マーシンさんの素晴らしい新作について伺いたいと思います。まずはIchikaさんの感想から伺ってもよろしいでしょうか。

マーシン:ワオ、気になるよ!

Ichika:まず、1stアルバムのリリースおめでとう! 先ほども彼が言っていたように、アーティスティックというか、人生でやりたいことが詰まってる作品だと感じました。全体から歌心を感じた。テクニックがどうとか、かっこよく見せようといったところから一歩踏み出していて、「どれだけすばらしい音楽を作れるか」という意志を感じます。

アルバム全体を通して、メロディとリズムの複合性に、自分じゃ生み出せないものを感じますね。曖昧で、聴くたびに「これは取り入れたい、真似したいな。てか悔しいな……」と思うところがある。

マーシン:君は素晴らしい友達だよ! ありがとう! 「真似したい」って言ってくれたけど、「Just The Two Of Us」の時点で、Ichikaは僕のシグネチャーかつクレイジーなマイナーコードを弾いていたよね。素晴らしいサウンドだった!必要なのは、それをリリースする度胸だけだよ。君には十分な才能があるんだから。


『Dragon in Harmony』日本盤ボーナストラックとしてマーシンとIchika Nitoのコラボ曲「Just The Two Of Us」を追加収録

─Ichikaさんにとって一番印象に残った曲、「やられた!」みたいな曲はありますか。

Ichika:僕が客演した曲があって。完成版が届いて聴いた時、めっちゃいい曲だと思いました。

マーシン:「I Don't Write About Girls」のことだよね。ねえ、タイトルについてどう思った? 君は結婚してるじゃん? ちょっと皮肉っぽく感じる?

Ichika:ちょっと困惑したんだ。どういう意味だろうって。



マーシン:この曲のメロディ(口ずさむ)を書いていた時、昔の彼女のことを考えていたんだ。

Ichika:メランコリックなメロディだよね。

マーシン:そう。初めての彼女がいたんだけど、僕のキャリアが変化してきたタイミングで別れたんだ。音楽を優先しようと思って。だからちょっとメランコリックなメロディになっている。でも、彼女にちなんだタイトルをつけたくなくて。ちょっとベタすぎるじゃん(笑)。だから、彼女のことを書いてはいるんだけど、「I don't Write about Girls」にしたんだ。アイロニックだよね。ファースト・バージョンはまったく違ったよ。

Ichikaのソロパートは、他のパートよりハッピーな感じで、今さらちょっと羨ましく思ってる(笑)。僕のお気に入りのパートなんだ。ヘッドホンで聴くと、ここがベストパートだ!!って。

Ichika:ありがとう。

マーシン:今は嫉妬してるよ(笑)!

Translated by Kyoko Matsuda, Natsumi Ueda

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