鬱病対策でマジックマッシュルームを摂取、「神」と遭遇した人々の証言 米

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幻覚剤が鬱病から薬物依存まであらゆる悩みに効果があるとして、アメリカで再び主流化しつつある。コロラド州では嗜好目的での、オレゴン州では治療目的でのシロシビン使用が合法化された。アメリカでの新規利用者は数百万人に上り、中には――意外や意外――信仰に目覚めた人もいる。

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初めてシロシビンを試した時、モルモン教徒で3児の母だったステファニー・ブリンカーホフさんは助けを必要としていた。偏頭痛と慢性疲労に悩まされ、長年服用していた抗うつ剤は効かなくなっていると感じていた。幻覚剤に関するPodcastを聞き漁り、精神疾患に効果があると言われていることを知ったブリンカーホフさんは、調べたことをビショップ[訳注:モルモン教の聖職者]に伝えた。ビショップはとくに否定もしなかった。

「『そうですか、まあ、あなたを信頼していますよ』という感じでした」と言うブリンカーホフさんは、ドラマ『マッドメン』のサリー・ドレイパーを大人にしたような雰囲気の人だ。「『あなたが治療目的でやってみようと思っていて、神秘的なものを感じ、祈りを捧げていたのであれば……うまくいくといいですね』」

とはいえ、当時コーヒーすら飲んだことのなかったブリンカーホフさんは心配だった。「自分にとっては大ごとでした。これから違法薬物を摂取するのね、みたいな気持ちでした」と当時を振り返る。

2021年、ブリンカーホフさんはRetreat.Guruというサイトで出会った自称祈祷師のもとで、人生初のマジックマッシュルームを飲み込んだ。「何も知らずに飛び込みました」と本人も認めているように、マッシュルームで頭の中のおかしな考えがなくなることだけを期待していた。

代わりに、ブリンカーホフさんは神と出会ったそうだ。だが幼少期から慣れ親しんでいた神は「雲の上の存在」で、自分を守ると同時に戒めもうる「親のような存在」だったのに対し、マッシュルームを介して遭遇した神はまるで違っていた。本人いわく、神の存在はもっと具体的で、世俗的で、実際のところ「生命」と同等のものに感じられた。

「組織化された宗教が約束してきたことはすべて、実際は宗教に起因しないことに気づかされました」とブリンカーホフさんは思い起こした。「自分の中で合点がいくと、すべてが崩壊しました」。

3カ月もしないうちに、ブリンカーホフさんは末日聖徒教会を脱会。今ではモルモン教を「魂の盗人」と呼び、教会から奪われた直感と自主性をマジックマッシュルームが取り戻してくれたと絶賛している。

だが脱会したとはいえ、至高の存在に対する信仰は増すばかりだ。

今では「私たちが経験していることそのものが神なのです」と語っている。

Akiko Kato

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