バイリンガルシンガーRISA KUMONが語る、音楽でエナジーを届けたい強い理由

RISA KUMON

日本人バイリンガルシンガー・RISA KUMONが注目を集めている。

2023年に「RECORD STORE DAY JAPAN」で発売された限定盤7インチ『Free』は即日完売、1stアルバム『Ri-Verse』(リ・ヴァース)は日本のR&B・ソウル配信チャート3位にランクイン。コアな音楽ファンからの評価を得て、「RSD2024」では同作のLPも発売された。アルバムでは、ソウル・ヒット曲から沖縄・ハワイ由来の曲、さらにはU2の代表曲までさまざまなジャンルの曲を多国籍なミュージシャンたち共にカバーしており、表現力豊かな歌唱によってしっかりと芯のある作品となっている。そんな彼女は、幼い頃に罹った難病を抱えながら音楽活動を行っているという。パートナーであり、プロデューサーも務めるアメリカ・フロリダ出身のHIPHOP アーティスト、Rolandis “RORO” Ramsey同席のもと、音楽への想いを語ってもらった。

―RISAさんは、いつ頃から音楽に触れていたんですか?

出身が長崎県佐世保市なんですけども、ベース(米軍基地)があってアメリカの人たちもたくさんいる環境の町で、学生の頃はヒップホップ、R&Bが流行っていたり、ストリートカルチャーの中で色々吸収していきました。私の父も色んな音楽を聴く人だったのでその影響があってオールディーズやジャズ、ボサノヴァ、ラヴァーズロックとかも本当にたくさん聴いて育ちました。

―幼少期に目のご病気をされたそうですが、お伺いしても良いですか。

3歳の頃、一度失明をし、その後奇跡的に視力を取り戻したのですが、網膜色素変性症という難病が後遺症として残りました。本当は遺伝の病気なんですけど私の場合は「はしか」が原因の2次性なんです。失明率が高い病気で小さい頃は夜盲症と視野が10度以下で視力も0.2~0.3ぐらいでした。大人になるにつれてゆっくり進行する病気で、コロナ禍のときに合併症の白内障がすごく悪くなり、日中や明るい場所は、太陽を直視してるみたいに眩しくて全部が白くぼやけるようになったんです。それから、リスクは承知で手術をすることを決意し、白内障による失明と眩しさは大丈夫になりました。今は病気の進行により視野が3度以下に狭まり、更にわずかな中心部が見えている状態なので、周りを見渡してパズルのように景色と情報から状況を把握しています。あと、薄暗いところは見えていません。自分で音楽をやるようになったのは、目のこともあって、両親が私に何か取り柄を持たせようとピアノを始めさせてくれたのがきっかけです。他のことをするのは難しいことが多いけど、音楽は他の人より優れてできるなっていう自信を持つことができて、音楽が自分の一部だと感じるようになりました。学生留学やホストとして留学生の受け入れもしていましたが、やはり、もっと海外に行っていろんなカルチャーを知りたいっていう好奇心が強くなって、専門学校卒業後にLAに行ったんです。小さいときから周りに助けられて育ってきたので、子供の頃に密かに抱いていた思いがあって「私は大人になったらどういうふうに自分で生きていくんだろう」みたいな不安を克服するために、一人で海外への旅立ちは自分試しの挑戦でもありました。



―海外ではどんなことを学んで今に至るんですか。

日本にいるときも音楽専攻ができる高校だったんですけど、それがクラシックだったんですよ。なのでイタリア歌曲とかオペラも歌えるんですけど、そのときはあんまり興味がなかったんです(笑)。どちらかというとR&Bとかソウルとかジャズ、ゴスペル、ヒップホップを深掘りしたいと思っていたからちょっと物足りなさを感じていて。それでLAのインターナショナル音楽学校に行ったんですけど、ついてもらったディレクターさんがK-Ci & JoJoのバンドのキーボーディストだったんです。それがきっかけで、他のバンドメンバーがレコーディングに遊びに来てくれたりとかして、音楽をやる上でのいろんなコツを教えてくれたりしました。歌を習うっていうよりは曲制作やパフォーマンス、アドリブとかのアドバイスを受け、実践していく感じでしたね。でも音楽学校だけじゃビザが取れなかったので語学学校も同時に行きながら、多国籍のミュージシャンの方々と一緒にライブやレコーディングをしながら、音楽制作を学びました。

―日本に戻ってきたときに、現在のパートナーでプロデューサーのROROさんと出会ったわけですか。

そうですね。日本帰って最初は東京にいたんですけどカルチャーショックバックが大きくて馴染めず、機会があって沖縄の方に移ったんです。そしたら沖縄音楽だけじゃなくスパニッシュ、ヒップホップとかいろんなカルチャーの音楽も聴けるしすごく肌に合って、いろんなイベントで歌わせてもらっていたんです。そんな中で、チャリティーフェスのゲストでアメリカから参加していたROROと知り合って、曲づくりやアーティストをプロデュースするようになり、本格的にレーベルとして始動することを決め、国際音楽レーベル「R2 RECORDZ」を設立しました。昨年リリースした私の1stアルバム『Ri-Verse』はすべてカバー曲ですが、RISA KUMONというシンガーを知ってもらう意味で、みなさんが聴き馴染みのある曲と、私が今までインプットしてきたものを自分なりにアレンジしてアウトプットしたバラエティな作品集を完成させました。

―なるほど。タイトル『Ri-Verse』の意味を教えてもらえますか?

大まかには “RISA‘S UNIVERSE” で、「私が創造する世界」これまで見て聴いて体験したものをクリエイトした世界という感じです。あと“REVERSE”だと「戻る」、”REBIRTH”「作り直す・生まれ変わる」っていう意味があったり、“RE:”にするとそれに対して返信する、”Risa’s Verse”で「Risaの詩」みたいな意味があったりいろいろ込めて『Ri-Verse』にしました。

Rolling Stone Japan 編集部

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