米スーパーボウル・ハーフタイムショー、歴代出演者の格付けチェック(2024年改訂版)

10位:レディー・ガガ(2017年)


ヒューストンで行われた第51回スーパーボウルでのガガ(Photo by AP/REX/Shutterstock)


レディー・ガガがスーパーボウルでどんな隠し玉を用意しているのか、誰もが考えを巡らせた。どのぐらい羽目を外すだろう? どのぐらい政治色を出すだろう? どのぐらいガガらしいのだろう? すると彼女は、誰もが喜ぶヒット曲メドレーで直球ど真ん中を狙ってきた。しかも幕開けは「忠誠の誓い」。「神の下、ひとつの分かちがたい国として、全ての人々に自由と正義があらんことを!」 。だが彼女は「全ての人々に」の部分に、クィアの応援歌「Born This Way」で新たな意味を加えた。恐らく「トランスジェンダー」という言葉がスーパーボウルで発せられたのはこれが初めてだったろう。ドッキリも、サプライズゲストもなし――ガガはこれでもかと自分らしさを貫き、恐ろしくなるほどだった。「Telephone」はビヨンセがいてもいなくても、やはり圧巻。




9位:マドンナ(2012年)


Photo by TIMOTHY A. CLARY/AFP/Getty Images


マドンナは長年に渡り、TVの画面で歴史的なタッチダウンを幾度も決めてきた。なのに、彼女がスーパーボウルの舞台に立った瞬間、あれほど不安な気持ちになったのは何とも奇妙だった。恐らく皆、何かとんでもないヘマをするのではないかと気を揉んでいたのだろう(彼女はそういうことが時々ある)。しかし現れたのは古代ローマ時代のグラディエーター軍団を従えた女王の中の女王。歴史に名を残すポップの名曲、すなわち彼女の持ち歌をグラマラスに繰り出した。完全たるカオス。マドンナはいつもそうだ。「Like a Prayer」でのシーローとのハーモニー。ポンポンを持ったセクシーダイナマイト、ニッキー・ミナージュの友情出演。素晴らしい。ああ、それともう一つ。「世界平和!」




8位:リアーナ(2023年)


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リアーナは5年以上どこにも出演していなかったので、スーパーボウルでのカムバックで何をするのか注目された。ゲスト出演? 衣装替え? 派手な振り付け? どれも違う。RiRiはソロでずっとロックし続け、アンタッチャブルでクールなフライング・ステージを見せつけた。出演後に妊娠していることが明らかになった彼女は、白衣をまとったダンサーたちを従え、冒頭の「Bitch Better Have My Money」を皮切りに次々と大名曲を披露した。「Rude Boy」ではセクシーにお尻を鷲掴みし、花火と共に歌う「Diamonds」で締めくくる。 彼女はまた、自身のブランド「Fenty Beauty」のミニ広告で化粧直しのポーズをとった。




7位:ブルース・スプリングスティーン&Eストリート・バンド(2009年)



タンパで行われた第43回スーパーボウルでのEストリート・バンドのブルース・スプリングスティーン(左)とスティーヴ・ヴァン・ザント(Photo by Winslow Townson/AP/REX/Shutterstock)


「ワカモレディップから離れてくれ! チキンフィンガーから手を放すんだ!テレビの音量は最大に!」 。我らがボスは、4時間ぶっ通しコンサートのような熱気を14分間に凝縮した。「Tenth Avenue Freezeout」「Born to Run」「Glory Days」にアメフト風の歌詞を織り込んで(「スピードボール」の歌詞に特に意味はなかっただろう?)。カメラを押し倒さんばかりのスライディングもお見事。海岸沿いから大都市まで、全米中のチキンフィンガーが冷めきった。安らかに眠れ、ビッグマン。


6位:シャキーラ&ジェニファー・ロペス(2020年)


Photo by Kevin Mazur/WireImage

シャキーラとジェニファー・ロペスは、スーパーボウルのハーフタイムを支えた最初のラテン系女性ではない。しかし、二人はこの年、大きな声を張り上げた。コリン・キャパニックに対して人種差別的な出場禁止令を発したことで、NFLはこのイベントを引き受けてくれる大物スターを見つけるのに苦労した。しかし、コロンビアが誇る女神とヌヨリカのハスラーは、ジムで働く母親たちに敬意を表し、彼らの華やかなワークアウトは、実際のゲームに勝るとも劣らないアスレチックな偉業となった。シャキーラはギターヒーローも交えて、「She Wolf」からレッド・ツェッペリンの「Kashmir」まで演奏。J. Loはストリッパーのポールを巧みに使って登場し、彼女の娘はスプリングスティーンの「Born in the U.S.A.」を歌った。バッド・バニーとJ・バルヴィンは、クイーンたちに遅れを取らないよう必死だった。


Translated by Akiko Kato, Rolling Stone Japan

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