カミーロが語る家族とLGBTQ+コミュニティへの愛、多様性を祝福するラテンポップ

カミーロ(Photo by Cristian Saumeth)

コロンビアが誇るラテンポップの第一人者、カミーロ(Camilo)がまもなく初来日。8月18日深夜のソニックマニアと、8月19日のサマーソニック東京初日、星野源がキュレーターを務めるBEACH STAGE「“so sad so happy” Curated by Gen Hoshino」に出演する。Instagramのフォロワー数2800万人という数字からも明らかなように、れっきとした大スターである彼のステージはハッピーなヴァイブスに満ちたものになるはず。貴重なインタビューをお届けする。


昨年リリースされた通算3作目の最新アルバム『De Adentro Pa' Afuera』は、カミーロの人生に分岐点をもたらした。このコロンビア人のシンガーは、アーティストとして新しいクリエイションを見出したと同時に、父親になったのだ。「アルバムのリリースと同時に、父親になるという経験を経て、家族の関係性がどう変化していくのか楽しみなんだ」と、彼のホームであるマイアミからZoom越しに話してくれた。

2020年のデビューアルバム『Por Primera Vez』以来、チャームポイントの髭と独特なセンスを含んだラブソングで世界中のファンの心を掴んできたカミーロ。アルバムを発表するごとにファンダム(名称は「La Tribu」)は拡大し、カラフルでポップなサウンドは彼の象徴となった。2022年の2作目『Mis Manos』では初のグラミー賞ノミネートも果たした。そして妻であるシンガーソングライター/女優のエヴァルナ・モンタネールが娘を妊娠しているなか、彼は『De Adentro Pa' Afuera』の制作に取り掛かり始めた。

2022年4月に誕生した娘・インディゴの存在はアルバムにおいて大きなインスピレーションになったという。「娘の誕生を待っている時間」を経て「彼女の誕生とともに多くの感情:今までに味わったことのない気持ち、前向きでありながらも生じる新たな不安、新たな挑戦、そして新しい愛のかたちが生まれた」と話す。

『De Adentro Pa' Afuera』は、カミーロにとって最も冒険的なサウンドになっている。ベッキー・G、アニッタ、バッド・バニーらへの楽曲提供でも発揮されてきた繊細な歌詞、特徴的なメロディを軸にした、変幻自在でエクレクティックな作品だ。アップビートな「Ambulancia」ではカミラ・カベロとタッグを組み、「Alaska」ではメキシコの人気グループ、グルーポ・ファーメをフィーチャリングに迎えた。予測不可能なサウンドの「Naturaleza」はニッキー・ニコールとのコラボにより強度を増しているし、妻エヴァルナと共作して愛おしい娘に捧げた「Indigo」なくしては、アルバムが成り立たないといっても過言ではないだろう。彼はこのインタビューで、父親としての人生と今回のアルバムに対する思い入れについて語ってくれた。



ー父親としての生活はいかがでしょうか?

カミーロ:心から幸せを感じている。人生でもっとも美しく有意義な経験だよ。ただ、もちろん多くのチャレンジも伴ってくる。今はちょうどその過渡期で、妻をサポートしているところなんだ。ツアーもあって「自分の時間がない」ということが大変だね。まあ、なんとかうまくやってると思うよ(笑)。

ー今回のアルバムでは、バチャータ(ドミニカ共和国発祥のラテン音楽)といったジャンルを探求すると共に、カミラ・カベロを筆頭に多くのコラボが実現しています。「Ambulancia」における彼女との制作はいかがでしたか?

カミーロ:とても楽しかったよ。というのも、彼女とはとても仲が良かったんだ。エヴァルナも僕も、彼女が大好きだった。それで以前から一緒に制作ができないかっていう話はしていたけど、そこまで本気じゃなかった。でも、ギターでファーストラインを作り始めたときに「これは絶対にカミラとやらなきゃ」と思ったんだ。だから「曲ができた。きっと気に入ると思う。一旦聴いてみて、自分が歌う姿が想像できるかどうか、正直な感想を聞かせてほしい」って彼女にボイスメールを送った。そしたら、「最高、ぜひやりましょう! 私の歌う姿が目に浮かぶわ!」って返事がきたんだ。彼女が送ってくれたアカペラ、歌声などのすべてに圧倒された。僕のお気に入りで、とても思い入れがある1曲だ。



ーまた、「Alaska」ではグルーポ・ファーメとともに制作をされていますね。どのような制作過程だったのでしょうか?

カミーロ:実を言うと、彼らは娘・インディゴのお気に入りなんだ。というのも、エヴァルナが娘を妊娠しているとき、グルーポ・ファーメの曲が流れるといつもお腹が動いたんだよ。それで、リードシンガーのエドゥイン・カズにそのことを話して、「一緒に曲を作ろう」と誘ったんだ。素晴らしい時間だったし、僕にとっては制作面でのチャレンジもあった。リアリティのある正直な曲にしたかったからね。メキシコを愛し、グルーポ・ファーメの音楽を愛している人たちにリスペクトの姿勢を示したかったし、彼らにも楽しんでもらえるように作ったんだ。


Translated by Natsumi Ueda

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