キタニタツヤが語る、「抗うこと」の美学と「スカー」へ込めた想い

そう言って苦笑するキタニは最近、バイクの教習所に通い始めたという。「実は今日も教習所帰りなんです。やっと講習が終わって第一段階突破というところ。一人でいるとあまりにも娯楽がないので、ちょっとバイクでも乗って旅でもしようかと。きっかけは、YouTubeなどに上がっているいわゆる『車載動画』。バイカーが自分のヘルメットにGoProをつけて、運転しながら撮影した動画がネット上にたくさんあるんですけど、景色のいい田舎道を延々と走っている動画とか、見てたら何杯でも酒が飲める(笑)。でも、ずっとそんなことばかりしていたら『俺の娯楽ってこれでいいのか……?』と不安になり始めて。だったら自分で実際にバイクを運転して、その素晴らしい景色を体験した方が気持ちいいインプットになるんじゃないかと思ったんですよね」

これまでバイクに全く興味を持たなかったキタニだが、いったん「免許を取ろう」と心に決めると俄然興味が湧いてきた。特に車種にはこだわらず、最新型のハイテクモデルを1台購入予定だ。「バイクは完全に移動のためのツールとして考えていますね。でも、クルマに対してはもっとロマンを求めているところがあって。昔のモデルが好きなんですよ。最近、ベンツが40年くらい前に発表したステーションワゴン型を購入して大事に乗っています。都内ではなかなかクルマに乗る機会がないので、休みの日とか少し遠出してのんびり走らせたいですね。そろそろ東京を引っ越して地方に住みたいくらい」



以前のインタビューでは、「コーヒーを飲んでほっと一息みたいな『なにもない時間』を楽しめるよう
になるのは、10年後くらい、人間性が醸成されてきてから」と語っていたキタニだが、ここ数年で心に何か大きな変化が訪れたのだろうか。

「5年前の自分に聞かせたら、『お前もずいぶんヤキが回ったな?』と怒られそうですよね(笑)。きっとコロナ禍も影響していると思う。考え方が180度変わったというか。それまでは毎晩飲み歩くのが当たり前だったのですが、友人とはたまに会って飲むからこそ、その大切さが身にしみてわかる。それってコロナ禍だけでなく、歳を重ねて気づいたことなのかもしれないですけどね」

Photo = Mitsuru Nishimura Styling = Yuji Yasumoto Hair and Make-up = Tatsuya Suzuki

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