Ryohuが語る、ヒップホップとの出会いと創作哲学

 「友人がバンドをやっていたので、そこからロックにも興味を持つようになりました。とはいえ一番好きなのは相変わらずヒップホップで、のちにKANDYTOWNのメンバーとなるBSCやYUSHIとも音楽を通じて仲良くなりましたね。一緒にヒップホップのライブに行ったり、暇さえあればフリースタイルの真似事をしたりして。最初のうちは『恥ずかしくて(ラップなんて)無理』と思ってたんですけど、二人が延々とやっているから超ヒマなんですよ」

 そんなRyohuに、最初の「挫折」が訪れる。ある日、ライブハウスで開催されているヒップホップのオープンマイク(飛び入り歓迎のイベント)を観に行った彼は、突然目の前にマイクを突きつけられる。その瞬間頭の中が真っ白になり、何一つ言葉が出てこなかったという。
 「まさに映画『8マイル』の、最初のエミネム状態。あまりにも長い間黙りこくっていたら、そばにいたずっと年上のお兄さんが僕をフォローするようなラップをし始めたんです。もちろんそれは優しさからだったと思うんですけど。めちゃくちゃ悔しかったんですよね。そこからは本気でラップをやるようになっていきました」


Photo = Mitsuru Nishimura

 ラップが上達してくると、今度はトラックメイキングにも興味が湧いてくる。DJプレミア(ギャングスター)が作ったインストトラックをMTR(マルチテープレコーダー)に流し込み、その上にラップを乗せるなど最初は見よう見まねで作っていたRyohu。しかし中学を卒業する頃には、現在の音楽性の基盤がすでに出来上がっていたという。

 「高校に入ると部活が忙しくなってしまって。僕は小中高とバスケをやっていたので、その腕を認められて強豪校へ入学することができたんです。毎日練習に明け暮れていたので、あまり音楽に力を入れられなくなってしまったんですよね。もちろん毎日音楽は聴いていたし、続けてはいたのですが。本格的にやるようになったのは高校を卒業してから。親父に『音楽がやりたいので大学は行かない』と伝えたところ、『好きなことをやった方がいい』って。それでバイトしてようやくMPCとターンテーブルを購入し、本格的に曲作りを開始したんです」
 そのうち、他のミュージシャンとも積極的にコラボをするように。トラックに生楽器を混ぜてみたり、MPCではなくパソコンで作ってみたりと表現の幅もどんどん広がっていく。

Photo = Mitsuru Nishimura Styling = Yuji Yasumoto Hair and Make-up = Fumiya Ushiku

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