moonridersが持つ徹底的な民主主義性、鈴木慶一らと新アルバムを全曲語る



田家:8曲目「再開発がやってくる、いやいや」。これも詞曲が白井良明さん。

鈴木:実際の話らしいですよ。白井が住んでいる周りが再開発に遭いそうなんだって。白井の歌詞は身の回りのちょっとしたことがちょいちょい出てくる。

田家:トーキングブルースか、トーキングラップと言うんでしょうか。これは?

鈴木:最初の良明のデモのラップはきっちりしたラガマフィンスタイルと言うかな、所謂レゲエな感じであった。それをちょっと崩したいと。今ラップは様々ありますから、フローするのもあるし、メロディがあるのもあるし。そのへんを今やるんだったらラガマフィンスタイルだと古いなということで。ビートを白井がディラビートと言っているんですけど、ドランクビートとも言います。酔っぱらいのビート。J Dillaというビートメイカーが由来です。

佐藤:ズレたような。

鈴木:ズレてる。ドラムズを叩くのが大変です。あとはゲストのDAOKOさん。彼女が出てくると、なんかハッと救われた感じになりますね。再開発はたぶんないよって言ってくれているのかもしれないし。

田家:そういう東京の歌がまだこの後も出てくるわけですね。やっぱり東京のバンドなんだなと、あらためて思ったりしている、そんな1曲でもあります。良明さんとDAOKOさんはどういうお付き合いなんですか?

鈴木:良明が女性ボーカルを入れたいということだったんですよ。スタッフも含めてみなさんで考えて、DAOKOさんをマネージャーの野田さんが推薦して、みんなで聴いてみて「いいねー」ってなって来ていただいた。

田家:ボーカルは?

鈴木:これはボーカルというよりトーキングブルースですね。1番が白井、2番が私、3番が鈴木博文、4番が武川くじら。

佐藤:みんな違うフローですよね。びっくりしたのがmoonridersのグループメールがあるじゃないですか。ラップの参考にしようって慶一さんが書いていたのがフランク・ザッパとジュース・ワールドでしたよね。

鈴木:そう(笑)。

佐藤:すごい振り幅だなと思って。

鈴木:俺よくそんなのセレクトしたな。

佐藤:すごいセレクトだなと思いました。

田家:そこまで気がつく人がどれくらいいらっしゃるんだろうという曲でも、アルバムでもありますね。

佐藤:メロディが混じったフローの感じは最近っぽいなというのもあるし。

鈴木:どこに行くかっていうのがね。だからこれは相当マシーン使ってます。録音しながらボーカル用のマシーンいじくり回していますから。

佐藤:あ、リアルタイムなんですか?

鈴木:そうです。リアルタイムでテイク1だね。

田家:たしかに何回もやれるようなことではない。

Rolling Stone Japan 編集部

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