共和党のアンチ・トランスジェンダー政策は「大きな恐怖を煽る」

アボット知事の書簡は、全米で強まりつつあるアンチ・トランスジェンダーの波の一部に過ぎない。アラバマ州下院では同日2月22日、小、中、高校に通う生徒たちは、出生時の性別に対応するトイレを使用することを決める議案が通過した。民主党のニール・ラファーティ下院議員は議案に関する議論の際「この議案はくだらない政治的争いに勝つためだけに、子どもたちを守るかのようなふりをしているに過ぎない。ただそれだけだ」と主張していた。

議案はすでに、共和党が率いる上院に提出され、最終的には、昨年10月にトランス女性の女子スポーツチームでの活動を禁止する法案にサインした共和党のケイ・アイヴィー知事のもとにたどり着くだろう。同時期にはアボット知事も同様の法案にサインし、テキサス州はトランス女性の女子スポーツチームでの活動を禁止する10番目の州になった。そして今月、サウスダコタ州が同様に11番目の州となってしまった。サウスダコタ州はさらにアラバマ州と同様、トイレの使用に関する議案を検討している州でもある。

トランスジェンダーの人々のトイレの使用機会を制限し、トランス女性が女子スポーツの場から排除されるような法案は、近年の保守派体制の間ではポピュラーな政策だった。しかしアボット知事は、性別適合治療を違法なものとすることにより、トランスジェンダーへの迫害をさらに加速させようとしている。テキサス州だけに限った話ではなく、例えば共和党のエイサ・ハッチンソン知事が率いるアーカンソー州ではすでに昨年、性別適合治療を禁止する法案を含む、いくつものアンチ・トランス法案が通過している。トランス女性の女子スポーツチームでの活動は禁止され、医療提供者が自身の信条に反すると思えば、トランスジェンダーの患者へのあらゆる医療行為を拒否することができるような悪法だ。

一方で、ハッチンソン知事はトランスの若者への性別適合治療を禁止する法案には拒否権を発動していた。その際彼は「私の拒否権発動により、保守派共和党議員らがもう一度、問題を見つめ直し、より自制的なアプローチを考えてくれることを期待している。このようなアプローチを行うことにより、法律を施行する前に、問題を取り巻く科学と倫理を思慮深く研究することが可能になるのだと考えている」とコメントしていた

しかし、同州の議会は翌日、過半数の議決で知事の拒否権発動を覆した。

From:‘Extreme Fear Mongering’: Greg Abbott’s Push to Investigate Families Is Only the Latest in the GOP’s Anti-Trans Blitz

Translated by Kazuhiro Ouchi

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE