TENDRE、iri、VIDEOTAPEMUSICらが出演「Scramble Fes 2019」レポート

多幸感に包まれたiriのステージ

ダブルのダークスーツに柄物のシャツという、独特のスタイルでサブステージに現れたのは、betcover!!ことヤナセジロウ。ドラムとベースのスリー・ピース編成で、まずは「新しい家」を披露。ザ・ジャムを彷彿とさせるような、パワフルなモータウン・ビートとロマンティックなメロディが絡み合う。間髪入れずに「水泳教室」へ。今年リリースされたニューアルバム『中学生』に収録されたこの曲は、静と動をダイナミックに行き来する予測不能な構成と、切なくも美しいメロディが聴き手に鮮烈な印象を残す。ファルセットのハミングが病みつきになりそうな「セブンティーン」を演奏したあと、おもむろに上半身裸になったヤナセ。レゲエビートとハチロクのリズムが交差する「平和の大使」では、まるで痙攣しているかのように激しく体を揺らしながら、凄まじいギターソロを繰り出した。ほとんど感覚でパフォーマンスしているようで、実は丹念に作り込まれたアンサンブルにただただ圧倒される。最後は「ゆめみちゃった」で、コクトー・ツインズばりの耽美なギター・サウンドを放ち、「夢で逢いましょう!」と人を食ったような挨拶をして去っていった。


betcover!!(Courtesy of Scramble Fes)

メインステージにバンド・メンバーが現れ楽器のセッティングをしている中、遅れてiriが登場すると、フロアからは大きな歓声が上がった。ドノヴァン・フランケンレイターやコリーヌ・ベイリーレイのオープニングアクトを務め、各方面から大きな注目を集めている神奈川県逗子市在住のシンガー・ソングライターだ。ベース、ドラム、キーボードというシンプルな編成を従え「Keepin’」を歌い始めると、その小柄な体型からは想像もつかないようなパワフルかつソウルフルな「声」に驚かされる。続く「breaking down」は、どこかオリエンタルなムードをたたえたミドルテンポのソウルチューン。間奏でiriがクールでスタイリッシュなラップを繰り出すと、主に女性からの歓声が大きく上がっていた。「ナイトグルーブ」ではアコギをかき鳴らしながら、たゆたうようなメロディを朗々と歌い上げる。そして、今年リリースされたニュー・アルバム『Shade』から、CMソングとしても話題の「Wonderlamd」のイントロが鳴り出した途端、ひときわ大きな歓声が湧き上がり、そのままサビを全員でシンガロングした。さらに、ニューソウル風の「SUMMER END」、ファルセットが美しくも切ない「Only One」を披露し、最後は「rythm」を全員でシンガロング。会場は多幸感に包まれた。


iri(Courtesy of Scramble Fes)

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE