モーニング・グローリー デラックス・エディション

1995年にリリースされた、オアシスの2枚目にしてベストセラーとなったアルバム『モーニング・グローリー』は、まさにマスターピースだ。これは過去に対する、コンサバティヴな回想である。ギタリストであり、コンポーザーであるノエル・ギャラガーは、ビートルズ的な骨格を持つチューンにグラム・ロック風のギターサウンドやサイケデリックなハーモニー、そして彼の弟リアム・ギャラガーのよく通る、自信たっぷりのヴォーカルを付け加えて、かっこよく現代的なものとして売り出した。

作詞家として、ノエルはわかりやすい意味を持つことや感情を打ち明けるようなものより、シンタックスや愛をもって何かを模倣することを得意とした(公然と「ワンダーウォール」をジョージ・ハリソンからひったくってきたように)。

一方、リアムが放つ、いななくように母音を伸ばす独特な歌い方は、「モーニング・グローリー」の風が吹き抜けるトンネル風の叫びや、雄大な混喩を用いた「シャンペン・スーパーノヴァ」において、オアシス独自の迫りくる感覚を与えるのだ。

この英国ポップ界史上最も偉大なレコードの3枚組のリイシューに、真にまれなものがあるかといえばそうではない。ノエルのアコースティック・デモ5曲があるばかりだ。しかしながら、兄ノエルの強烈な引用や鈍いロマンチズムがずっとピークを迎えていた時に書かれた「アクイース」や「ラウンド・アー・ウェイ」といったBサイド、弟のリアムが95から96年のワールドツアーでみせた、最高潮の時期のレノンを彷彿とさせるようなうなり声で歌う「サム・マイト・セイ」や「ハロー」も収録されている。

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