セクシー系インフルエンサー、AIで誇張された姿に激怒 米

この画像の背景には、AIソフトウェアを使ってネット上の女性に慎ましい格好をさせるという4chanトロール連中主導の大規模なムーブメントがある。通称「DignifAI」と呼ばれるこの「ミッション」について、ヘイト系フォーラムのスレッドにはこうまとめられている。「我々は堕落した女性に服を着せ、楽しんでいる。堕落した生活は最終的に何の意味もないことを世に知らしめるのが目的だ」。スレッドには目的を果たすためにStable Diffusionというプログラムを使いこなすチュートリアルへのリンクが張られ、「匿名ユーザーがタグ付けできるよう、投稿の際には(画像の女性の)名前も記載するように」という指示もあり、標的に屈辱を味わわせるというムーブメントの目標を明確にしている。

当初DignifAIは、極右系インフルエンサーのジャック・ポソビアック氏の投稿をきっかけにX(旧Twitter)で拡散した。同氏は今月6日、本人が「eガール」(ネット上で表向きの顔を取り繕う女性に対する蔑称)と呼ぶ人々の写真にAIツールを適用した4つの実例を投稿した。DignifAI専用のXアカウントには、Instagramに投稿されたモデルの他、マイリー・サイラスやドージャ・キャットや一部の男性セレブなどの加工画像が投稿され、2万8000人がフォローしている。

DignifAIのXアカウントを運営するユーザーはローリングストーン誌に宛てたメッセージで、チョン氏がポストした画像との関与を否定した(アカウントに投稿されている大半の画像と比べると、チョン氏の加工画像が明らかに粗悪なことからもある意味納得だ)。アカウントの趣旨について尋ねると、@DignifAIの返答は「画像に服を追加するアカウント」とだけで、それ以上の説明はなかった。

デイヴィッドさんは「荒らしを変に煽らないように」という助言を無視して、反撃に転じた。チョン氏の投稿を自らのポストで引用し、「今までお目にかかった私を貶めるやり方の中でも、いちにを争うかもね。シェアせずにはいられなかったの。スクロールダウンしてコメント欄を見て、スヌースヌー(権力を持つ女性とのセックスをほのめかす言葉。TVアニメ『フューチュラマ』で普及)であの世行きを怖がってるのがバレバレよ」とキャプションをつけた。ある意味、最後に笑ったのは彼女のほうだ。チョン氏がAIで加工した画像を投稿したことで、昨日だけでOnlyFanの収益は594.4%増、Xアカウントの新規フォローワーも数千人増えたそうだ。だが悲しいかな、こうした経験をしているのが自分だけでないことも自覚している。アダルト業界の女性だけでなく、あえてネット上でプロフィールを公開している女性たちも、同じような経験をしている。

「1人の人間として存在して、世間が求める商品を提供しているだけ、というわけにはいかないのが現実のようです」と彼女は言う。「でもそうですね、アカウントの規模や投稿しているコンテンツの内容に関わらず、みなこの手のターゲットにされています。腹を立てるか、笑い飛ばすか。その二択しかない。もしくはネット上で女性であることをアピールするのを辞めるか。少なくとも私の場合、それは選択肢に挙がってきませんが」。

Akiko Kato

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