ビリー・ジョエルのサンプリングに垣間見える「らしさ」『COMING HOME』は4曲連続のフィーチャリング・ソングで幕を開ける。 バウンシーで淫らな二重表現のタイトル曲にはバーナ・ボーイ、「Lovers And Friends」風の「Good Good」にはサマー・ウォーカーと21サヴェージ、トラップを取り入れた「Cold-Blooded」にはザ・ドリームが参加。 意外なハイライトはビリー・ジョエルをサンプリングし、ラトーを迎えた「A-Town Girl」だ。明るくキャッチーなポップ・モーメントで、アッシャーは「Uptown Girl」を完璧に反転させ、アトランタ生まれの愛を祝福しているーー"ショーティはAタウン・ガール/自分のお金は持ってるけど、中に入るのにお金は払わない/嘘じゃないよ”。 アッシャーならではの可笑しなサンプル使いだ。しかも実に上手くいってる。
アルバムの大半でアッシャーは一人で歌っているが、勢いを保ちながらダンサブルに仕上げている。映画『カラーパープル』のサウンドトラックでH.E.R.とデュエットした、スロー・ジャムだが決してスロー過ぎない「Risk It All」も、シンセが映える楽観的なラブソング「Keep on Dancing」、恋人に自分のもとへ戻ってくるよう誘う欲情的なミドルテンポ「Bop」に挟まれる形でアルバムの中盤に挿入されている。
高品質でスムースな楽曲たちはアッシャーの音楽における両極、ホームパーティー向きのジャムとセックス・プレイリストの名曲の間を行き来するかのようだ。このアルバムは少なくとも、彼の素晴らしかった時代を思い出させてくれる。 アッシャーの帰還は実に喜ばしいことだ。
From
Rolling Stone US.
アッシャー
『COMING HOME』
発売中
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