ジャングルがTikTokで人気爆発 特大バズを生んだダンスMVの「徹底した世界観」とは?

ジャングル「Back On 74」MVより

ジャングル(Jungle)の「GREENROOM FESTIVAL' 24」(来年5月25日・26日開催)出演が先日発表された。現行UKダンスシーンのトップに君臨する彼らは、一連のミュージックビデオによってTikTokなどSNS上で世界的バズを巻き起こし、2023年音楽シーンの顔となった。特大バイラルヒットの背景を、アメリカ在住のZ世代ライター・竹田ダニエルが解説する。


ジャングルの「Back On 74」は、通算4枚目の最新アルバム『Volcano』の先行シングルとして今年7月にリリースされると、2023年における最も大きなTikTokでのヒット曲の一つとなった。ソウルフルでありながら根底には踊りたくなるようなエネルギーがみなぎる音楽性で知られるジャングルは、この曲でも懐かしさと新鮮なモダンさを両立させている。

「#backon74」というハッシュタグのついた動画は、12月初頭の時点でTikTokで2億回再生を突破。サビ部分のMVの切り抜き動画における、メインダンサーのウィル・ウェストが女性ダンサーに恋焦がれ、追いかけるかのようなダンスが大きな話題を呼んだ。



ジャングルはジョシュ・ロイド・ワトソンとトム・マクファーランドの2人を中心に2013年に結成。グルーヴィーかつキャッチーな音楽性が瞬く間に注目を集め、ビリー・アイリッシュのアリーナ公演にも出演し、テイラー・スフィフトのリミックスも手掛けるなど著名人からも愛されてきた。ロンドンの音楽フェス「All Points East」(今年8月開催)ではエリカ・バドゥを抑えてヘッドライナーを務めエスクァイア誌は『Volcano』を年間ベストアルバム第1位に選出している。

このように実力派として名を馳せてきた彼らは、今回のMVのワンシーンによってメインストリーム的人気を獲得したと言っても過言ではない。このバズは徹底した世界観を作り出せるダンサー、振付師、そしてドラマチックなMVをワンカットで作り上げた、ビデオグラファーの力量による賜物だ。



「Back On 74」の振り付けを「踊ってみた」ダンスチャレンジ動画もSNS上で大流行

TikTokでMVのダンスシーンが話題になったアーティストといえば、トロイ・シヴァンの「Got Me Started」が記憶に新しい。

トロイの場合は、YouTuberとして人気を博したティーン時代からネット民のスターではあったものの、メインストリームのポップスターレベルの評価を確立したのは、同曲を収録した最新アルバム『Something To Give Each Other』以降だと言われている。「Got Me Started」のMVに本人が登場し、ダンサーたちと共に渾身の振り付けを披露しているのが大いに話題になったわけだが、このような「MVに対して意欲的にストーリーを作り、クオリティの高さを追求するアーティストの努力」が高く評価される時代になりつつある。往年のポップスターと比べてダンスに積極的なアーティストが減ったという声もある一方で、一般人がTikTokを通して「ダンサー」になることができるようになった今日において、みずから複雑な振り付けにチャレンジするアーティストは実に貴重な存在だ。

トロイ・シヴァンの場合は、「Got Me Started」や「RUSH」のダンサー/振付担当のMauro Van De KerkhofもWill Westと同時期にTikTokセンセーションを巻き起こし、MauroとWillのクロスオーバーを熱望するファンたちの期待に応えて、Mauroがジャングルの曲に合わせて「Back On 74」のダンスを披露した動画も大きなバズをもたらした。

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