「THE HOPE」総括 2年目の開催で示した「ヒップホップのリアルなコア」

BAD HOP(Photo by Masanori Naruse)

国内最大級のヒップホップフェス「THE HOPE」が9月23日、東京・お台場の特設会場で開催された。BAD HOPがヘッドライナーを務め、3万人ものオーディエンスが集った当日の活況を、文筆家・ライターのつやちゃんが振り返る。

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ジャパニーズマゲニーズのステージに紅桜が現れ、喝采を浴びる。MCでは国への強い批判が語られ、その盛り上がりのまま舐達麻が登場。「OUTLAW」でAwichが出現しメロウなフックを歌う。長い夏を超えようやく吹き始めた秋風がなびく中、海沿いのお台場会場では夕暮れ前の心地よい空気に包まれ、皆が思い思いにヒップホップを楽しんでいる――。多くの名場面があった中で、この15時台のスロットは今回のフェスのハイライトだったのではないか。


ジャパニーズマゲニーズ+紅桜(Photo by Yusuke Baba(Beyond the Lenz))


舐達麻(Photo by Yusuke Oishi (MARCOMONK))


Awich(Photo by Yusuke Baba(Beyond the Lenz))


昨年の代々木体育館からお台場に会場を移し二回目の開催となったTHE HOPEは、一日で三万人の来場者を集め、大盛況に終わった。これだけヒップホップのフェス/イベントが乱立するとそれぞれ独自のカラーが見えてくるし、背景にある思想の違いもうっすらと伝わってくる。会場の中や帰路でも、いわゆる二大フェスと称されつつあるPOP YOURSとの比較を話す声がちらほら聞こえてきた。出演者が多く重複している両フェスながら、ここまでカラーの違いが出るのも面白い。

THE HOPEは、ラインナップからも分かる通り、AK-69が中心となって牽引する東海ヒップホップの文脈が色濃い。彼は昨年、このフェス名の由来を「(東海地方のレジェンドである)TOKONA-XはHOPEの煙草が好きだった。今でも俺は彼の墓にHOPEを持っていく」と明かしていた。もう一人のキーパーソンであるANARCHYは様々なステージに客演し、漢a.k.a GAMI~D.O~Red Eyeと続く政治色の強いステージの流れを締めくくったのも彼だった。また、この日はAK-69もジャパニーズマゲニーズのMCと同様の発言をしており、その点では、よりポリティカルな傾向を持つフェスであるとも言える。他にはDJに特化したステージやバスケットボールを楽しめるエリアなどもあり、従来のストリートカルチャーとしてのヒップホップ、他方でゲットーやハスラー、ギャングスタといった側面を強調したフェスとしても個性を確立しつつある。


ANARCHY(Photo by Yusuke Oishi (MARCOMONK))


AK-69(Photo by Daiki Miura)

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