追悼・坂本龍一 YMO、映画音楽、ヒップホップへの影響…その軌跡を振り返る

長かった闘病生活

2014年、坂本は中咽頭がんと診断されたことを発表。音楽活動を1年間休止して闘病に専念することにした。

「すべてのプロジェクトをキャンセルすることにしました。すべてね。少しばかりキャンセルしても音楽を続けられそうにもない。だから全部キャンセルすることにしたんです」。坂本は2015年、米ローリングストーン誌にそう語っている。「何もしない時間がたっぷりできてしまいました。たぶん、20代前半の学生時代の頃から40年ぶりくらいですね。(中略)もちろん、治療が何よりも大事ですし、人生で一番過酷で肉体的に辛い時間を過ごしました。ほとんど食べられなかったり、自分の唾液を飲み込めなくなるくらいでした」



休養後、復帰した坂本は『レヴェナント』のスコアを手がけ、2017年リリースのアルバム『async』も高く評価された。しかし、2020年には新たに直腸がんが発見される。「これからは“ガンと生きる”ことになります。もう少しだけ音楽を作りたいと思っていますので、みなさまに見守っていただけたら幸いです」と、彼は2021年にコメントしている。

今年初め、坂本は最後のアルバムとなる『12』をリリースした。同作を引っさげて行われたストリーミングコンサートの後、坂本は「この形式での演奏を見ていただくのは、これが最後になるかもしれない」と語り、最後のライブになる可能性が高いことを示唆していた。




From Rolling Stone US.

Translated by Rolling Stone Japan

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