追悼・坂本龍一 YMO、映画音楽、ヒップホップへの影響…その軌跡を振り返る

YMO、映画音楽、ヒップホップへの影響

1978年、当時クラシック出身のセッションミュージシャンだった坂本は、ドラマー/シンガーの高橋、ベーシスト/キーボード/ボーカリストの細野晴臣と共にYMOを結成。シンセ、シーケンサー、ドラムマシンを駆使し、80年代を席巻するエレクトロニック・ミュージックの先駆者となった。

YMOの画期的な作品群と同様に、坂本のソロアルバムもまた、80年代初頭にヒップホップ・サウンドを形成したアーティストたちを魅了した。特に1980年のアルバム『B-2 Unit』に収録された「Riot in Lagos」は、アフリカ・バンバータやマントロニックスの音楽にも影響を与えている。





常に実験的であった坂本は、80年代前半にダブのレジェンドであるデニス・ボーヴェル、元ジャパンのデヴィッド・シルヴァンらとコラボレーションを行い、デヴィッド・ボウイ主演の83年の戦争映画『戦場のメリークリスマス』で映画デビューを果たした。この映画で坂本は自身初のスコアを手がけ、BAFTA(英国アカデミー賞)の作曲賞を受賞した。




多作家だった坂本は、1978年のアルバム『千のナイフ』を皮切りとしたソロ活動、映画作曲家としての飛躍、頻繁なコラボレーションを両立させていた。1987年、ベルナルド・ベルトルッチ監督は、坂本とデヴィッド・バーン、中国の作曲家である蘇聡の3人に、大作映画『ラストエンペラー』の音楽を依頼。この作品で彼らは、アカデミー賞の作曲賞、グラミー賞の最優秀オリジナル映画音楽アルバム賞などを受賞している。




その後、坂本はベルトルッチ監督と『シェルタリング・スカイ』『リトル・ブッダ』で再びタッグを組でいるほか、ブライアン・デ・パルマ監督の『スネーク・アイズ』『ファム・ファタール』とのコラボレーションを実現させ、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督は2015年の映画『レヴェナント: 蘇えりし者』のスコアで、アルヴァ・ノト、ブライス・デスナー(ザ・ナショナル)と共に坂本を起用した。

近年の坂本は、Netflixドラマ『ブラック・ミラー』や、ジョン・デヴィッド・ワシントン主演の2021年のスリラー映画『ベケット』などの音楽を手がけていた。

Translated by Rolling Stone Japan

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