予想価格1億円、アポロ11号月面着陸の記録映像がオークションに

唯一現存するニール・アームストロングの月面着陸時の模様を録画したNASAのオリジナル映像が、来月オークションに出品されることになった。(Photo by Universal History Archive/Shutterstock)

唯一現存するニール・アームストロングの月面着陸時の模様を記録したNASAのオリジナル映像が、来月オークションに出品されることになった。これは1969年7月20日にアポロ11号が月に着陸して50周年を記念したセールとなる。

サザビーによると、この歴史的なビデオテープは「1976年6月以来3度しか再生されていない2インチのVTR3巻。NASAのミッション・コントロールの大スクリーンで映し出されて人々を夢中にさせた映像で、あの日TVの前で固唾をのんで見ていた5億人が目にしたTV映像に比べて、画質もクリアでコントラストもはっきりとしている」という。

このテープは、ゲイリー・ジョージが1973年6月にNASAのジョンソン宇宙センターでインターンをしていたときに、どんなものがあるかチェックしに行った政府の払い下げ品オークションで偶然買った「トラック一台分」のビデオテープの中に入っていたものだ。

ジョージはこのビデオテープの一山を217ドルで購入し、もともとは中古品として転売するつもりだった。「あの頃、Ampexの新品リールが1本260ドルくらいで、リールテープ自体は再録画可能だったため、ジョージは地元テレビ局に売って利益を得るつもりだった」と、サザビーが説明した。

ジョージ本人も最近ロイターに「あの大量のテープの中に価値のあるものなどないと思っていて、録画で再使用できるからテレビ局に売るつもりだった」と話している。

しかし、ジョージの父親が「APOLLO 11 EVA | July 20, 1969 REEL 1 [-3]」というラベルが貼ってある箱を見つけた。この箱には月面着陸を記録した3本のビデオテープが入っており、有名なニール・アームストロングの「小さな一歩」の瞬間も含まれていた。そこで、ジョージはこのテープを保護することにし、それ以来3度しか再生していない。一度目は2008年に一般公開したとき、二度目はテープをデジタル化したとき、最後はサザビーのスペシャリストに見せたときだった。

撮影されてから長い年月を経ているにもかかわらず、このビデオテープのクオリティは「無傷な状態で、これまで公開された同様の映像よりもかなり画質が良い」という。

このNASAのビデオテープには、アポロ11号のミッションの一つだった月面車による活動も3時間記録されており、オークション前の予想価格は100万ドルから200万ドルとなっている。たった217ドルで買ったガラクタがジョージに天文学的な財産をもたらしたと言えるだろう。

Translated by Miki Nakayama

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