ノー・シティーズ・トゥ・ラヴ

最強のライオット・ガールたちが帰って来た。ワシントン州オリンピアで1994年にバンドが結成されて以来、3人はライオット・ガール・ムーブメントの先頭に立って、オルタナ全盛期のUSロック・シーンを駆け抜けた。そんな彼女たちが活動休止したのは2006年のこと。その後、3人はソロ・ワークという武者修行を経て、昨年再結成を果たし、待ちに待った新作『ノー・シティーズ・トゥ・ラヴ』を完成させた。前作『ザ・ウッズ』から10年ぶりということは、デビューから活動休止するまでと同じくらいの期間、メンバーはソロ活動を続けていたわけで、本作にはバンドとしての蓄積とソロの蓄積が同じくらいの分量で詰め込まれて、強烈な化学反応を起こしている。

プロデュースを手がけたのは、バンドの初期の作品を手掛けた盟友ジョン・グッドマンソン。ギター/ヴォーカルのキャリー・ブラウンスタインは「私たちは夢中になって音を鳴らした」と今回のレコーディングを振り返っているが、彼女たちにとって本作は第2のデビュー・アルバムといえるだろう。とにかく、3人が鳴らす音のひとつひとつが強力で、揺るぎなく、エモーショナルだ。キャリー・ブラウンスタインとコリン・タッカーのツイン・ギターとヴォーカルの息が合ったかけ合い。ジャネット・ワイスが叩き出すパワフルなビート。その緊迫したバンド・アンサンブルから生み出されるサウンドは骨太でワイルドだが、そこにはしなやかな弾力がある。3人がお互いを求め、絆を確かめ合っているのが音を通じて伝わってくるようだ。本作は3人の新たな闘いを告げるファンファーレのように勇壮で、決意に満ちたアルバムだ。これはもう、ライヴを観ないことには始まらない。

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