moonridersが持つ徹底的な民主主義性、鈴木慶一らと新アルバムを全曲語る

moonriders

音楽評論家、田家秀樹が日本の音楽の礎となったアーティストに毎月1組ずつスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出していく。2022年5月の特集は「moonriders」。パート1に引き続きパート2はゲストに鈴木慶一、佐藤優介、澤部渡を迎え、11年振り新アルバム『It’s the moooonriders』の後半全曲を語る。

田家秀樹:こんばんは。FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」案内人・田家秀樹です。今流れているのはmoonridersの「親より偉い子供はいない」。4月20日に発売になった11年振りの新作アルバム『It’s the moooonriders』の6曲目、今日の前テーマはこの曲です。

関連記事:moonriders、11年振りアルバムを鈴木慶一、佐藤優介、澤部渡とともに語る



今月2022年5月の特集はmoonriders。新作アルバムを入口に彼らの歩みを辿ってみようという1ヶ月。今週はパート2。11年振りのアルバム『It’s the moooonriders』の全曲紹介、今週は後編。ゲストは5週間に渡って登場していただく鈴木慶一さん。そして、曲作りにも加わったミュージシャン佐藤優介さんと澤部渡さんということで今週もよろしくお願いします。この曲のタイトルすごいですね(笑)。

鈴木慶一:これはSNSで白井良明が書いてたんだよね。私が引っ越しまして、倉庫からローランドのヴォコーダーのキーボードケースが出てきたんですよ。それにmoonridersというロゴが書いてあって、そのロゴは良明のお父さん、白井源三さんが作って、“o”が重なっている。久しぶりに見たなっていうようなことを書いていたんです。で、「親より偉い子供なんていません」とか、そういうふうに書いていたのかな。これ曲になるんじゃない? 歌詞になるんじゃない? っていうことで博文、良明のやり取りが始まった。

田家:作詞が鈴木博文さんと白井良明さんで、曲が白井良明さん。“よしあき”さんという。

鈴木:“よしあき”って呼ばれたことないと思うの。常に“りょうめい”って言われて。“よしあき”を使ってみたいというのは、鈴木博文の案で、「おい、よしあき」っていうふうに書きたかったらしい。

田家:ボーカルは慶一さんと良明さんと博文さんと夏秋さん。

鈴木:コーラス部分の〈親より〉をみんな一緒にやってるからね。

田家:で、ボイスが春風亭昇太さん。なんで昇太さんだったんですか?

鈴木:誰にしようかってなって、〈おーいよしあきー〉ってまるで「帰って来たヨッパライ」みたいだろって(笑)。デモでは本人がやっていたんです。それも変だろうという流れで、違う人がいいかなって。江戸の感じがほしいなって思いましてね。良明のお父さんは蒔絵師と言いまして、浮絵を描く人だったんです。白井良明も蒔絵師になろうとしてた。だから習字を習わされたりいろいろしていて。高校生ぐらいのある日、「お前蒔絵師になるな、やめろ」って。「なんで?」って言ったら、「金にならねえ」って(笑)。

田家:なるほどね(笑)。

鈴木:いい父上ですよねー。だから、こういう歌詞になったんです。

田家:そうか、良明さんにとっての親はこういう存在なんだ(笑)。moonridersには「DON’T TRUST OVER THIRTY」というアルバムもあるわけですし、年齢とか上の世代に対してはこだわり方があったんでしょ?

鈴木:ありましたね。特に20歳ぐらいなんて。2人ともそうなんじゃないの?

澤部渡:でも、僕らだとその頃にはmoonridersとかスパークスとか好きだったから、むしろ逆でずっとリスペクトです。

鈴木:私ぐらいだとちょっと年上がほとんどGSの方々で、だからもう30歳過ぎは信用するなというのがあるわけです。でも、自分が30過ぎてしまうと非常に矛盾を抱えながら生きていくことになる。だから澤部くんや優介くんみたいに最初から年上の方の音楽を聴いているのは想像がつかない。ビートルズでさえ10歳上ぐらいだから。お二人にとって、我々は10歳上どころじゃないけども(笑)。

田家:もうちょっと大人になると、こういう心境になるという歌でもあります。「親より偉い子供はいない」。

Rolling Stone Japan 編集部

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