冒頭の曲は、不協和音的なオーケストラと女性のつぶやきが6分続く不穏な曲になっている。それで、このアルバム・タイトル『カッサダガ』が、実はフロリダ州の精神世界系コミュニティの名前であることと関連づけたくなる人もいるかもしれない。しかし、2曲目以降は、02年のアルバム『リフテッド』期の奔放さを思わせる演奏と楽曲がほとんどだ。特に中心メンバーであるコナー・オバーストの中西部的ボーカルを支えるカントリー風味が全編に活かされている。さらにマイク・モーギスとネイト・ウォルコットがそれぞれにいろんな楽器とアレンジを手掛けて、作品に骨太な厚みを持たせることにも成功。オバーストはメロディの名手であるだけに、歌詞的にはいくらでも冒険できるわけで、さまざまなテーマを取り上げてみせる。しかし、その一方で、どの曲もよくできたラヴソングに仕上がっていて、その細やかなディテールが描くリアリティが素晴らしい。

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