ミドルテンポで始まる「Just My Situation」では、フジロックで歌いまくった疲れがテオのボーカルから窺えたが、声のしゃがれ具合が色気を感じさせてむしろ味わい深い。実はザ・バンドが好き、という他の曲ではわかりにくい側面も、こういうアーシーな曲で露わになっていたように思う。曲の核となるリフを担うテオに対し、もうひとりのギタリスト、マックス・ソメルヨキはジミ・ヘンドリックスやエリック・クラプトンをフェイバリットに挙げるだけあって、ブルージーなフレーズを弾かせると熱が入る。
1stアルバム『Underground Renaissance』を聴き込んでから会場に来たファンは、スタジオ録音よりも格段にラフでパンキッシュな演奏に驚いたのでは。アルバムではそれほど荒々しく聞こえなかった「Paisley Underground」も、ステージではテオとマックスのギターがせめぎ合い、ストゥージズばりの高熱を発していた。ペン・リーのカバー「Got To Know」ではマックスがボーカルを担当、愛嬌のある見た目に似合わないガラッパチな歌唱が、テオとは異質で原曲以上のガレージ・パンク感を醸し出す。