音楽検索マニアを悩ませていた「17秒の曲」の正体が明らかに 米

1980年代、Who‘s Who名義で活動していたクリストファー・セイント・ブースとフィリップ・エイドリアン・ブース(COURTESY OF CHRISTOPHER SAINT BOOTH AND PHILIP ADRIAN BOOTH)

長年にわたる捜索活動と数えきれないガセネタの末、「Everyone Knows That」、略して「EKT」と呼ばれていた謎の1980年代ポップソングの正体が判明した。

【動画を見る】アダルト映画のサウンドトラックで使われていた曲

本来のタイトルは「Ulterior Motives」で、クリストファー・セイント・ブースがのんきな楽曲のボーカルを、一卵性双生児のフィリップ・エイドリアン・ブースがギターを担当した。もともとは1986年のアダルト映画『Angels of Passion』のサウンドトラックに使われていた曲で、若かりし双子の兄弟はいくつかのポルノ映画でスコアを手がけた後、実りのいい映画業界に足を踏み入れようとしていた。

ハンドルネームcarl92という匿名ユーザーが音質の悪い17秒の素材をWatZatSongにアップロードしたのが2021年。以来「Ulterior Motives」は“失われた音源”――作曲された経緯も作曲者もわからないまま残された、耳について離れない音源の元ネタを追跡する愛好家コミュニティのネット探偵を魅了し続けてきた。一度聴いたら忘れられないフックと郷愁たっぷりなサウンドが功を奏し、ネット時代にもっとも探し求められた音声遺産に挙げられ、数万人がsubredditで大捜索を展開した。誰がこの曲を書いたのか? ひいては、どうすれば完全音源を手に入れられるだろうか?

ブース兄弟はつい先日まで曲の存在を長いこと忘れていた。曲の一部がネットで拡散していたことも全く知らなかった。2人のredditユーザーが事件を解明して元ネタを突き止めると、途端にブース兄弟のもとには留守番電話やソーシャルメディアへのコメントが殺到。最初のうちはわけが分からなかった。ファンや友人からの問い合わせで、ようやく兄弟は忘れ去られていた過去の作品の影響力を理解し、元ネタ発掘のために人々が注いできた労力に胸を打たれた。そして今回、ローリングストーン誌の取材で「Ulterior Motives」誕生秘話や、長い年月を経てこの曲が再評価された喜びを語ってくれた。感謝の気持ちをこめて、当時のまばゆいポップソングの数々とともにこの曲のリメイクバージョンをリリースする計画もあるという。

Akiko Kato

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