下北沢のライブハウスから見た「ぼっち・ざ・ろっく!」

下北沢SHELTERの店長・義村智秋氏(Photo by Mitsuru Nishimura)

TVアニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」の結束バンドがホームとして活動しているライブハウス、STARRY。メンバーたちがライブを行うだけでなくアルバイトをするなど作品に欠かせない場所となっている。そのモデルとなっている下北沢SHELTERの店長・義村智秋氏に、実際のライブハウスの現状について話をきいた。

【場面写真を見る】「ぼっち・ざ・ろっく!」のシーン

※この記事は現在発売中の「Rolling Stone Japan vol.22」に掲載されたものです。

ー下北沢SHELTERは、どのような色をもったライブハウスなんでしょう。

義村 1991年10月1日にオープンした箱で、いわゆる渋谷系とか新宿LOFTに出ていたレジェンド的な人たちから、ASIAN KUNG-FU GENERATIONやKEYTALK、さらに下の若いバンドまで出ているので年代ごとに色があるなと思います。Hi-STANDARDとかメロディックパンクの印象も強いと思うんですけど、2010年代にはBiSをはじめとしたアイドルが出演し始めたり、様々なシーンのアーティストが出ているライブハウスなのかなと思います。

ー「ぼっち・ざ・ろっく!」をご覧になって、どのように思われましたか。

義村 SHELTERとほぼ同じでびっくりしました。時計や床のシミとかも再現されていて。楽屋は実際より広かったですけど、バーカウンターの中にあるファイルとかも全部一緒で。ノルマの話とか細かい部分もリアルに描かれているなと思いました。

ー実際、ライブに出演するためのオーディションもあるんでしょうか?

義村 現状はアニメで描かれたようなオーディションはやっていなくて。出演希望バンドに数組出演してもらって、お客さんの反応や集客含め、次がイメージできたら連絡をしてまた出演をしてもらうということが多いです。

ーバンドにとってのホームのライブハウスというのは、どのように決まるんでしょう。

義村 そのライブハウスにたくさん出続けたら自ずとホームになることが多いのかなと思います。これに関しては言ったもの勝ちというところはあって(笑)。大きな違和感を覚えなければOK だと思います。

ー登場人物の廣井きくりのように、ライブハウスに出演する日じゃなくても、ミュージシャンがふらっと遊びにくることはあるんでしょうか。

義村 ありますね。ライブのない日に飲みにきたり、次のイベントをどうしようかとか、どうやったら売れるかって話もしますし、全然関係ないことも話したりします。なので、本当に家みたいな感じに思ってくれているんじゃないかと思います。こちらとしても、数あるライブハウスで帰ってくるところはここだよねと思ってくれるのはうれしいです。例えばKEYTALKが初めて武道館公演をしたときにSHELTERを模したステージにしてくれたり、最近話題のガールズバンド、サバシスターは他の箱でのライブの時もホームと言ってくれていたりして。最後に戻ってくるところというか、一つの拠り所になってくれているのはすごくうれしいですね。

ー義村さんにとって、いいライブとはどういうものだと思いますか。

義村 毎日たくさんのバンドを観てきているので、ある程度起承転結がわかってくるんですけど、想像を超えてきたライブはいいなと思います。演奏は上手い方がいいですけど、それ以上に、ちゃんとお客さんに向けて届けるようにやっているかが大切だと思います。

ーちなみに「ぼっち・ざ・ろっく!」で好きなキャラクターは?

義村 ドラムの伊地知虹夏ちゃんですね。みんなの調整役というのが自分の立場とかぶるなと思って。そういう中間管理職的ポジションの人を応援したくなるというか。なので虹夏ちゃんと、あと職業が一緒の星歌さんが気になりますね。ちなみに、04 Limited SazabysのGENちゃんがTwitterで「楽屋が広すぎるのと店長が汚いおじさんというのがアニメと全然違ってる」みたいに書いていました(笑)。

ー普段働いてる職場がアニメでこのように登場しているのはどのような気持ちですか。

義村 なんかヘンな感じですよね。でもそれがきっかけで興味を持ってくれる人が少なからずいるのでうれしいです。ライブハウスって一般的にはニッチなので、世間で取り沙汰されたのはコロナ禍でクラスターになったときに吊るし上げられたこととかなので。こうしてポジティブな意味で脚光を浴びて、ライブハウスを知らない人たちにこういう場所があるんだと知ってもらうきっかけになっていることは、すごくありがたいですね。


Photo by Mitsuru Nishimura

下北沢SHELTER
東京都世田谷区北沢2-6-10仙田ビルB1

1991年10月に新宿LOFTの姉妹店としてオープンした下北沢のライブハウス。キャパシティは250名。メジャー、インディーズ問わず様々なジャンルのアーティストが出演し、レジェンドから若手バンドまで連日様々なライブが行われている。受付からフロアに下る階段も象徴のひとつ。夜はPUB TIMEとして営業もしており、バンドマンだけでなく音楽関係者たちが集う交流の場所となっている。
http://www.loft-prj.co.jp/SHELTER/

<INFORMATION>

結束バンドLIVE-恒星-
会場:Zepp Haneda
5月21日(日)
17:00 開場/18:00 開場
◆出演者青山吉能 (後藤ひとり 役)、鈴代紗弓 (伊地知虹夏 役)、 水野朔 (山田リョウ 役)、 長谷川育美 (喜多郁代 役)
◆BAND生本直毅 (Gt)、五十嵐勝人 (Gt)、 山崎英明 (Ba)、石井悠也 (Dr)
https://bocchi.rocks/special/live_kousei/

『光の中へ』
 結束バンド
5月24日発売
1,320円(税抜価格1,200円)
CD1枚 初回仕様限定盤

収録曲:
1.光の中へ
2.青い春と西の空
3.光の中へ-instrumental-
4.青い春と西の空-instrumental-

◆5月22日(月)0時に「光の中へ」先行配信実施

【初回仕様限定特典】
結束バンドLIVE-恒星-パックステージパス風ステッカー
※収録内容や特典は予告なく変更となる場合がございます。予めご了承ください。

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