3月19日に開催された「ツタロックフェス2023」。 [Alexandros]のライブレポートをお届けする。【ライブ写真はこちら】誰よりも彼ら自身がこの日を待ち焦がれていた。
[Alexandros]流のミクスチャー・ロック・ナンバー「MILK」をSEにして、踊りながらメンバー達がステージに登場してきたオープニングからもそれは感じられたが、1曲目の「Dracula La」からロック・バンドとして破格のスケール感を見せつけながら、この日、川上洋平（Vo, Gt）は終始、観客にシンガロングを求め、それに応えようとせいいっぱい声を上げる観客とともにコロナ禍以前のライブの熱狂が戻ってきたことを祝福。そして、その歓びを存分に享受した。
それはまさにフェスの大団円を締めくくるにふさわしい光景だったと思うのだが、改めて45分にわたる熱演を振り返っていこう。「Dracula La」で早速、観客にシンガロングさせると、「今日は暴れてもいい日です！」（川上）とライブハウス・シーンで頭角を現してきた頃の彼らを彷彿とさせる性急なロック・ナンバー「Baby’s Alright」を炸裂させる。そして、フィードバック・ノイズを巧みに操る白井眞輝（Gt）のフリーキーなソロから、4人の音がぶつかり合う間奏になだれこみ、観客の気持ちに火をつけたところに繋げたのが、彼らのライブには欠かせないパッショネイトなロック・ナンバー「Waitress,Waitress」。リアド偉武（Dr）のドラムに合わせ、観客全員が「ハイ！ハイ！ハイ！」と声を上げる。
「まだまだ行けんだろぉ！」
この曲の冒頭で磯部寛之（Ba）が上げる雄叫びを聞いたのは、いつ以来だろう。そして、「今日は最高の夜にしましょう」（川上）とR&B調の「LAST MINUTE」をじっくりと聴かせたところで、川上は勝利宣言するようにギターを高々と掲げたのだった。
メンバーの名前を呼ぶ観客の声が止まらない。久しぶりに耳にする歓声にステージの4人の顔に笑みがこぼれる。
「声出しが解禁されたんだから、いくらでも声を出していいよ。MCの間だって喋っていい。この世で一番おとなしくしちゃいけない場所です。全部解放して、自由にやろうぜ。そっち（客席）に行って、暴れたいくらい。俺の分も暴れて、声を出してもらえますか!?」（川上）
そんな言葉とともに始まった後半戦は「Starrrrrrr」「Adventure」とお馴染みのアンセムを立て続けに披露していく。「Starrrrrrr」のサビの直前で、観客全員が当たり前のように声を上げた「イエー！イエー！イエー！」というシンガロングを聞いた瞬間、かつて見たライブの記憶がまざまざと蘇り、あぁ、本当に以前のライブが戻ってきたのだと実感。その実感をさらに確かなものにしたのが、「フェスでみんなと歌いたかった！」（川上）という「Adventure」だった。観客のシンガロングを聞いた川上が「もうちょっと声を出せるでしょ!? 心の底から出そうぜ！」と発破をかけながら、客席にマイクを向けると、観客全員の渾身のシンガロングが会場中に響き渡る。そこからたたみかけるように性急なロック・ナンバー「閃光」に繋げ、駆け抜けるように本編を締めくくった[Alexandros]はアンコールを求める声に応え、もう1曲披露する。演奏したのは、言うまでもなく「ワタリドリ」。
帰りかけながら、イントロを聴いて、慌てて戻ってきた観客も含め、そこにいる全員を踊らせ、ダメ押しでシンガロングさせたあと、会場に響き渡ったのは、歓喜に満ちた川上の声だった。
「愛してるぜ‼」
それはまさしくライブを、フェスを、そして何よりもロック・バンドを愛してやまない我々が祝福された瞬間でもあったのだ。
＜イベント情報＞ツタロックフェス 2023 supported by Tポイント公演日：2023年3月19日（日）会場名：幕張メッセ国際展示場 9・ 10・ 11ホール主催：CCCミュージックラボ（株）/ライブマスターズ（株）企画：CCCミュージックラボ（株）制作：ライブマスターズ（株）運営：（株）ディスクガレージ特別協賛：CCCMKホールディングス（株）問い合わせ： https://cccmusiclab.com/tsutarock2023
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