モー娘。小田さくらと櫻井梨央が語る、努力・未来・A BEAUTIFUL STAR

小田さくらから見た「櫻井梨央」

—小田さんは同じステージに立つパフォーマーとして半年間見てきて、櫻井さんのこういうところが面白いとか、こういうところがいいなって感じることはありますか?

小田:らいりーは今後、喋りでもポジションをつくっていく子だなって思うんですよね。しっかりした性格、視野の広さに加えて、オタクの時のライリーの目線も持ち合わせているから俯瞰で見ることができる。そういう子が、今だとけっこう珍しくて。らいりーもさっき自分で言ってましたけど、写真撮影のときやパフォーマンス中の表情が得意な子だなともすごく思います。表情筋がすっごく柔らかいのと……恥ずかしがらないのかな? だからかわいい顔、カッコいい顔、驚いた顔、怖い顔、泣いてる顔を、きっちりやり切ることができる。恥ずかしがってできない子も多いんですけど、そこがめっちゃ武器だなって思います。だからコンサートの後ろのビジョンを見ていても楽しいです。

櫻井:ありがとうございます! うれしいです。自分で言うのも何ですけど、褒められると伸びるタイプだと思うので(笑)。

小田:そうなんだよね(笑)。

櫻井:確かに私、マスク越しでも表情が伝わるぐらいリアクションが大きかったりするので。「盛りだくさん会」っていう特典会をこの前初めてやらせていただいて、そこでマスクをした状態でファンの方とコミュニケーションを取る機会があったんですね。その際、どうしたら自分のこのうれしい気持ちや楽しい気持ちが伝わるか考えたんです。笑顔が好きですって言っていただいた時も、マスク越しにめっちゃ笑ったり、表情を第一に考えて。自然にできるようになることも大事ですけど、研究してこそ育つものなのかなとも思うので。やりすぎない程度に馴染むぐらいにカッコよくできるように……。

小田:やりすぎていいよ(キッパリ)。

櫻井:(笑)。

小田:やりすぎるべきだよ。で、引き算、引き算。

櫻井:そうですね。

小田:一度やりすぎてから、何年後かに引き算すればいい。

櫻井:コンサート会場の客席の後ろの方はステージ上のビジョンでしか表情を確認できないと思うので、近くで見てくださってる方にもそれ以外の方にも、生でパフォーマンスをお届けしていることを実感していただけるようになりたいですね。

小田:それ目標にしたらいいじゃん! 一番後ろの人にもどういう顔してるのかわかってもらうってことを目標にしたら?

櫻井:そうですね。伝える意識を持って、つくっていきたいですね。

小田:素敵!

櫻井:ありがとうございます!

—昨年の武道館のセトリに、各期のデビューシングルで繋いだ25周年のアニバーサリーメドレーが冒頭にありましたよね。音楽的な流れを意識したセトリとはまた違う意味合いのセトリだったじゃないですか。ああしてみると、モーニング娘。のバラエティ感が際立ちますよね。

小田:「ピョコピョコ ウルトラ」から「Help me!!」までの数カ月で何があったんだって感じですよね(笑)。

—そうそう(笑)。小田さんのデビュー曲でもある「Help me!!」からガラッと印象が変わったんだなって、聞いてて思いました。

小田:今になってつんく♂さんが、その時に在籍しているメンバーを活かして曲を作る方なんだなってわかるようになったので、私を楽器として活かしていただけたのかなって思います。「ピョコピョコ ウルトラ」って、やるたびにメロディラインが切ないなって思うんですよ。切ないメロディなのに歌詞ではピョコピョコ言ってて、明るさと切なさが共存してる。そういう曲がつんく♂さんの曲にはたくさんあって。「まじですかスカ!」も、スカだけど要所要所泣きのメロディが入ってるじゃないですか。そういうところでアイドルといえど“音楽”をちゃんとやらせていただいてるんだなって実感します。「ピョコピョコ ウルトラ」は特に、アイドル性と音楽性が両方ぶつかり合ってるみたいな曲だなって思います。めっちゃいいです。

櫻井:ウルトラですもんね。

小田:そうそう。「ピョコピョコ ウルトラ」ってまず意味わからないじゃないですか(笑)。衣装もひよこだったし。年末の「COUNTDOWN JAPAN」で実はそのメドレーをやったんですよ。これは濃いファンの人向けのメドレーだと思ったから、外でやるにはちょっと自信がなくて、その旨を会社の人にも伝えたんですけど、一人ひとり目立つポイントがあるからと言っていただいて。それで披露したんですけど、このフェスに来ているオーディエンスのどれくらいの方がこの曲の切なさに気づいてくれるだろうと思ってパフォーマンスしてました(笑)。でも私も気づいたのは最近なんです。工藤(遙)さんの卒業コンサートの時に、卒業セレモニーのBGMとしてオルゴールver.で流れたんですよ。その時に、誰かがこの世から消えてしまうのかなってくらい切ない曲に聞こえて。「ピョコピョコ ウルトラ」が切ない曲なんだって思ったら、他にもそういう曲がたくさんあるって気づいたんです。逆に明るいメロディラインなのに、編曲がしっとりしてる曲もあるんだって気づいた。私はアイドルで、そこまで音楽に詳しく触れてないから気づくのに時間がかかったけど、ロックフェスのお客さんだったらスカが好きな人もいただろうし、いろんな視点の人がいるだろうなって思いながらあのメドレーをやってました。結果やってみて楽しかったです。

—確かにモーニング娘。の音楽的バックグラウンドが、EDM期のクール系だけじゃないってことを伝えるには、わかりやすいセトリですよね。

小田:そうそう。もっと遡ったらR&Bばかりの時期もあったし、ディスコもボサノヴァもある。探せばすごく楽しいですよって思いながらやりました。これまでフェスではよく知られてる曲しかやってこなかったので、刺激的でした。

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