無知すぎる保守派が嘲笑の的に ピンク・フロイド「虹ロゴ」を巡る「狂気の騒動」

1973年にリリースされた、ピンク・フロイド『狂気』のカバー(Photo by MICHAEL OCHS ARCHIVES/GETTY IMAGES)

英国を代表するプログレッシブ・ロック・バンド、ピンク・フロイド(Pink Floyd)が『狂気』リリース50周年記念ロゴを公表。「Wokeに走った」とレインボーロゴに怒り心頭の保守派に対し、熱心なファンたちはどんな反応を見せたのか?

アーティストのギルバート・ベイカーが製作したレインボーフラッグがクイア解放のシンボルとして最初に使われたのは1978年、サンフランシスコでのパレードだった。ピンク・フロイド8枚目のアルバム『狂気』(原題:The Dark Side of the Moon)がリリースされたのはその5年前、1973年だった。プリズムに差し込んだ光が虹を描くアートジャケットは、デザイナーの故ストーム・ソーガソンがピンク・フロイドの有名なライトショーにオマージュを捧げたものだ。

そして2023年。伝説的なバンドが歴史に金字塔を打ち立てた作品の50周年を迎える中、誤った情報を仕入れたごく少数のファンが、2つのカウンターカルチャーを混同して勝手に怒り狂っている。今月19日、ピンク・フロイドの公式Facebookに50周年の記念ロゴが発表されるや、レインボーのデザインが指しているのはバンドの代表作のジャケットではなく、LGBTQへの団結だと思い込んだファンから怒りのコメントが相次いだ。


※ツイート訳:『狂気』50周年を記念してピンク・フロイドがプロフィール画像を更新……コメント欄は一見の価値あり。(トラヴィス・エイカース @travisakers)

「だよな、ピンク・フロイドのファンはいつも『ピンク・フロイドがもっとゲイだったらよかったのに』って言ってるもんな」と、ある男性はコメントしている。「気色悪い」と述べているのは、新型コロナウイルスの真実を騙るミームをプロフィール画像に使っているユーザーだ。「昔はよく聴いてたけど、もうやめた。なんでもかんでもゲイのプロパガンダだらけだ」

Twitterではレインボーバッシングはそこまでひどくなかったが(むしろ50周年記念デラックスボックスセットの300ドル=約39000円という価格が争点になっていた)、あるユーザーはバンドが「完全に体制化して、大きな政府の支持に回った」と批判した。


※ツイート訳:体制や大きな政府に抵抗する曲を書いたもっとも有名なバンドも、完全に体制化して大きな政府の支持に回った。幸い彼らはもう曲を書いていないから、一文無しでしょうね。どこかで道を誤ったのよ。(コン @Con__c0n)

Translated by Akiko Kato

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