閉鎖された寄宿学校の闇、「魂の救済」と児童虐待 米

専属医師のデヴィッド・スモック氏やフリオ・サンドヴァル元教頭など、学校関係者の数人が業務中で生徒に罪を働いたとして起訴された。両名はいずれも無罪を主張している。11月にはアガペ校の元職人が、215点の児童ポルノを所持していたかどで起訴された。だがほうぼうから激しい圧力がかかっているにもかかわらず、クレメンセン氏は学校側の手法に虐待的なところはなく、少年の救済を第一としていたと主張を続けている――もっとも同氏は、児童虐待育児放棄登録データベース行きこそ免れたものの、仮命令により生徒との身体的接触を禁じられている。

「少年たちを、神の思し召しを仰ぐ状態に導くことが一番です」と、クレメンセン氏は以前ローリングストーン誌に語っている。「麻薬や友人に頼るのを止め、神に向かって『更生したと感じられるよう、あなたのお力を貸してください』と言えるような状態にです。魂が救済されない限り、身につくことはありません」

学校が閉鎖されたとはいえ、職員は元生徒から少なくとも19件の民事訴訟で訴えられている。元生徒たちは暴行により悪夢に悩まされ、警戒心を解くことができず、いまだにストレスやトラウマを抱えていると主張している。

2004年と2010年と2度この学校に入学したコルトン・シュラグさんは、学校閉鎖のニュースを聞くや、「この先、あの学校で虐待を受ける子どもがいなくなって嬉しい」という。かつてシュラグさんはローリングストーン誌の取材で、クレメンセン氏が「生徒を床に叩きつけ」ているのを目撃したと語った。また元指導員が自分とクラスメートを殴り、他の職員にも同じことをするようけしかけていたそうだ。

「あの時期のことに折り合いをつけられるかどうかは分かりませんが、間違いなく次の目標に進むことはできます。人生のあの時期に幕を閉じられるかどうかは分かりません」と、シュラグさんは更生施設で過ごした日々と学校閉鎖を振り返り、最後にこう付け加えた。「肩の荷が下りた気はします」。

別の犠牲者ジョシュ・ブラッドニーさんも、閉鎖のニュースを聞いた時は「涙がこみあげてきた」そうだ。2014年入学当時、ブラッドニーさんはまだ12歳だったが、他の生徒から性的暴行を受けたと言う。その時の生徒の1人は、のちに学校職員になった。

現在、ブラッドニーさんは他の犠牲者と連絡を取り合い、仲間同士で慰めやアドバイスを模索しているそうだ。「みんな同じような状況です」と彼はローリングストーン誌に語った。「僕らが集まって互いに助け合っている理由はただひとつ。生徒を虐待するような学校を閉鎖し、子どもたちを守るためです」。

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from Rolling Stone US

Akiko Kato

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