極上の音楽が混ざり合い、感動と一体感を生んだ新イベント「MAGIC HOUR VOL.01」

BIM(Photo by Yuna Yoshimori)

日没前後、空の色がグラデーションになり一帯を美しく包み込む時間帯、マジックアワー。そんな名前の新イベント『MAGIC HOUR VOL.01』が、2022年11月12日、大阪・なんばHatchで行なわれた。

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本イベントは、マジックアワーの絶妙な混ざり合いのように、ヒップホップやR&B、ジャズやロックなどのジャンルをクロスオーバーさせ、ライブならではの体験とグルーヴ、音楽を楽しめる場として新しくスタートした。記念すべき初回の出演者はiri、(sic)boy、BIM(BAND SET)、Mega Shinnosuke、Yogee New Waves(50音順)。そしてオープニングアクトにSUMMER SNOWMANが登場した。イベント名通り、ステージとフロアが魔法のように溶け合う音楽に魅了された、最高の一夜となった。

定刻を少し過ぎて開場すると、めいめいグッズやタオルを身に纏ったオーディエンスが、前方からフロアを埋めていった。1Fフロア後方に設けられたDJブースでは、オープニングDJとして大阪堀江のレコードショップ・FLAKE RECORDSのDAWAがヒップホップやR&B中心の選曲で、チルからグルーヴィに会場の雰囲気をじわじわと高めていく。

オープニングアクトはEASTAとKVGGLVによるユニット・SUMMER SNOWMAN。「MAGIC HOUR遊んでいこうぜ! よろしくお願いします!」と一声放ち、「サマスノEverywhere」を軽快にかっ飛ばす。続けてEASTAが「今日は長いので楽しんでいってください!どんな楽しみ方するかといったら、汗かいて楽しんで!」と「アセアセ」をドロップ。キャッチーなライムにオーディエンスはのっけから手を挙げて体を揺らす。曲の後半はラップの勢いが増し、「飛び跳ねろ!」の合図でジャンプ。チルな雰囲気から始まった「黄昏時グッドスメル」では、フロウをダイナミックに交互に繰り出して盛り上げる。最後は「MAGIC HOUR始まったばっかやから、暴れられる奴は手ェ上げろ~!」と「I NEEDA」を投下。2人でステージを歩き回りながら見事なライミングを披露し、「ヤバい人いっぱい出てくるから楽しんでってくれ! ピース!」としっかり会場を温めてステージを後にした。


SUMMER SNOWMAN(Photo by Yuna Yoshimori)

そしてオープニングMCをつとめるFM802 DJの板東さえかが元気に登場。既に盛り上がった会場を嬉しそうに見つめ、客席とコミュニケーションを取る。今回が初回ということで「今日は皆さんは目撃者です!」と笑顔。「土曜の晩こと“土晩”を楽しんでいきましょう! あとは皆さんにこのフロアはお任せします! 続いてのステージはMega Shinnosuke!」と高らかに開会を宣言し、トップバッターのMega Shinnosukeを呼び込んだ。

Mega Shinnosuke

この日はサポートメンバーにサトウカツシロ(Gt / BREIMEN)、永井隆泰(Ba)、いけだゆうた(Key / BREIMEN)、山下賢(Dr)、DJマスク(DJ)を迎えたMega Shinnosuke。暗転したステージに先にサポートメンバーが登場し、いけだが「盛り上がっていこうぜ~!!!」と地声で叫ぶとフロアが一気に湧き上がった(いけだのツイートを見るにMega Shinnosukeからの要望?だった様子)。1曲目は「Thinking Boyz!!!」。ギターとドラムが火を吹き、ライブ前に射的でゲットしたというライオンのぬいぐるみを持って颯爽と登場したMega Shinnosukeが「盛り上がっていけんだろ大阪!」と煽る。バンドサウンドが明るくポップに響き、サビでは一斉に手が挙がる。続く「桃源郷とタクシー」ではギターソロが気持ち良く突き抜ける。


Mega Shinnosuke(Photo by Yuna Yoshimori)

MCでは「今日のお客さんはめちゃくちゃ調子が良さそうで、最高ですありがとう」と述べ、「大阪は毎回超熱くて。なのにこんなん(ダウンベスト)を着てきちゃってミスったなと思ったけど、俺にこれを脱がせるくらい熱くしてくれるかな、皆さん。 Let’s go!」と「SHIBUYA BOY⭐︎★⭐︎★」へ。疾走感のあるビートを飛ばして会場を牽引する。アーバンかつグルーヴィにフロアを揺らせた「Sweet Dream feat.Jinmenusagi」を経て、シンセリフが印象的な「O.W.A.」ではついにダウンベストを脱ぎ捨て、より身軽になってステージを縦横無尽に動き回る。その様子にオーディエンスも興奮し、フロアは早くも沸騰状態に。いけだは終始テンション高くジャンプしながら演奏しており、かけていたメガネを吹っ飛ばしていた。

2度目のMCで「今日初めて見るよって人どのくらいいる?」と質問し、手を上げた方々に向けて「初めての人多くてこんだけ盛り上がってんのはラッキー。てか初めて見れてる君たちの方がラッキー。俺を知れたから」と自信たっぷりの発言で会場を湧かせ、ラストソングの「甲州街道をとばしてalternative ver.」へ。センチメンタルなメロディと高音の歌声が情緒的なサウンドスケープを描き出す。最高の余韻を残してトップバッターの役目を終えた。

(sic)boy

グルーヴィな波を作り出して一体感を見せたのは(sic)boy。DJがトラックを流し「Akuma Emoji」からライブをスタートすると、フロアは手を挙げて大盛り上がり。ラウドな要素もありながらキャッチーな歌メロがノリやすく、いつの間にか独自の世界観に連れていかれるパワーがある。続く「living dead!!」では加速したビートと照明が呼応して激しさを増し、さらに「Ghost of You」、「落雷」、「未発表の新曲」とエッジーかつパワフルな楽曲を連投。ビジュアル系バンドを彷彿とさせるルックスと魂のこもったラップ、時折差し込まれるデスボイスはまさにヒップホップとメタル、そしてロックの融合だ。唯一無二のステージングで魅了し、会場を圧倒した。MCでは「東京から来ました(sic)boyといいます。楽しんでますか?」と挨拶し、「さっきの曲も新曲なんですけど、次の曲も今月出す新曲です」と「Afraid??」を披露。切なげなメロディが美しく会場を満たし、フロアはゆらゆらと身を任せていた。ヒップホップ色強めの「(stress)」では滑らかにフロウを紡ぎ出す。ホーン隊が入ったジャジーなサンプリングから流れるように繋がれた「Kill this」ではループするラインにグルーヴが生まれ、情緒を揺さぶった。


(sic)boi(Photo by Yuna Yoshimori)

そして「気づけば11月も中盤に入ってるじゃないですか。1年あっという間だったなと思って」と1年の早さを口にし、「2022年今日が一番良いライブだったと言えるように本気で来てます」と力強く語り後半戦へ。どこか儚さを纏いながらも湧き上がるものを感じた「no.13 ghost」、<渋谷で酒飲みたい>と歌う「Last Dance」を経て、最後は「Heaven’s Drive」を投下。フロアは一斉にプチョヘンザ 。斜陽を思わせるドラマチックな照明と没入する音の波にどっぷりと浸かることができた。35分で12曲を披露した(sic)boy。1階席も2階席も漏れなく巻き込み、身ひとつで会場を盛り上げた様子はさすがだった。

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