Aile The Shotaが語る、感情と本能が突き動かす、緻密なサウンドメイキング

Aile The Shota(©BMSG)

Aile The Shota、今年3枚目のEPが完成。A.G.O、TAAR、TOSHIKI HAYASHI(%C)、tofubeatsをプロデューサーに迎えて完成させた、ディープハウス、トラップなどのビートを取り入れた楽曲たちからは、新しいJ-POPを作ろうとする気概と確かなセンスを感じさせる。

【写真を見る】Aile The Shota、初のオーガナイズイベント「Place of Mellow organized by Aile The Shota」

現行のグローバルシーンを敏感にキャッチしたうえで、J-POP愛とダンサー経験を軸足にあらゆるジャンルに足を踏み入れて、音楽の新たなフィールドを開拓しようと突き進むのがAile The Shotaだ。さらには、自身の経験や感情をリアルに昇華しながら聴き手が深く共鳴できるリリックの綴り方にも磨きがかかっている。デビューから1年で辿り着いたAile The Shotaのオリジナリティ溢れる音楽の描き方について、その手法と細部にわたるこだわりを語ってくれたインタビュー。そして、「愛」と「エゴ」は相反するものなのか?――EPのタイトル『LOVEGO』に込められた、誰しもにとって捨て切ることのできない「愛」と「エゴ」について語ってもらった。

―まず、11月4日に開催された『Place of Mellow organized by Aile The Shota』について聞かせてください。あのライブにはShotaさんが大切にしているものが詰まっていたと感じました。

Aile The Shota 僕は仲間と音楽を作ることを大事にしているからこそ、オーガナイズイベントをやることが目標の1つ、夢で。実はオーディション(『THE FIRST』)を受ける前に企画していたものがあったんですけど、コロナでなくなっちゃって。そういったこともあって感慨深かったですね。今回誰とやりたいかなって考えたときに、やっぱり友達とやりたいなと思って春野くんとeillにオファーしたんですけど……マジでよかったですね。

―春野さん、eillさんのライブもすごくよかったですね。

Aile The Shota オーガナイズするときは絶対に、自分がライブを観た人にオファーしようと思っていたので、それもちゃんとできてよかったです。単純に、春野くんとeillのファンなので(笑)。超正直なライブで、肩の力を抜いた表現ができたのは、2人のおかげな気がします。2人のライブを客席でしっかりと最後まで観て、自分も今までにないライブができたので。『Place of Mellow』は大成功だったなと思います。

―Shotaさんのライブも素晴らしかったです。ライブレポートにも書かせてもらいましたけど、日常を歌いながらもアートに昇華する表現力も、会場に集まったお客さんの踊らせ方も、聴き手への寄り添い方も、新しい音楽の届け方が生まれ始めた瞬間を目撃した感覚がありました。

Aile The Shota それ書いてもらって「あ、そういうことなんだな」と思いました。自分のことを正直に書きすぎていてライブでどうなるかなという気持ちがあったんですけど、ただただ自分の現状を歌っている曲があんなに力を持つのは不思議だなって思いましたよね。この1年、ライブを観にいくことが多くて。自分がお客さん側で観るときも、好きなようにのるライブが好きなので、「好きに踊って」という感じで、なるべく「会場がグルーヴしている」というものを作りたいなとは思ってました。グルーヴしてるライブができたことには達成感がありましたね。

―2階からフロアを見てましたけど、曲によって異なる揺れ方をしていたことが印象的でした。そして最新EP『LOVEGO』は、あの日の空気感や信念が形になったような一枚だなと思います。

Aile The Shota 「ジャンルを持たずに」ということを最初から大事にしているんですけど、改めて最近、どのジャンルも持たないということは、どのジャンルにもリスペクトと愛を持っているということだなと思って。それを、あの日やった11曲の全部でやれたなと思いました。これまでプロデュースしてくれたみなさんと曲を作れていることが自分の誇りのひとつでもあります。今回のEPにはtofubeatsさんが入っていたり、ずっと大好きな方たちにオファーさせてもらっているので。Aile The Shotaを作ってくれたすべてに感謝ですね。

―Aile The Shotaという存在はオルタナティブなJ-POPを作り上げようとしている、ということは、今回のEPを聴いてもそうですし、『Place of Mellow』でも強く感じたことで。

Aile The Shota 自分ってオルタナティブなんだなって、たしかに思いました。結局、ミックスして新しく作られたものがオルタナティブになっていくんだなって。その中でキャッチーさを大事にしていることが強みかなとは思います。

―メロディラインもそうですけど、自分のことを歌いながらも聴き手の心に寄り添うという面でもキャッチーな力が増していると、ライブを観てもEPを聴いても感じました。

Aile The Shota 「全世界にこのメッセージを届けます」とかは実はあんまりないんです。それは多分、得意じゃなくて。ただ自分自身の経験や具体的に届けたい人に書いているものが、こうやって広がっていくことは、不思議なんですけど、嬉しいなと思います。

―自分自身を含む具体的な「一人」に向けて書いた曲にこそ強度が宿って、それが多くの「一人」に突き刺さっていく、というのは創作の真理な気もします。「gomenne」もそういった類いの強度がある曲だなと。

Aile The Shota 「gomenne」は「me time -remix-」の続編を書きたいというところから始まりました。制作中に感じた実体験ですね。この人の「ごめんね」を奪いたい。「ごめんね」って言ってほしくない。でもそれについて書きすぎるのも僕の中ではバランスが違うので、その具体的な1つから、「みんな大変だよな」というところにまで広げました。でもやっぱり、その1つに対してメッセージを歌うということは大事にしてますね。あとは、自分自身に歌う。なので、いろんな角度に向かって歌っているなとは思います。それが曲全体が広いところに向かうということになるのかなと。





RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE