Dr. Martens（以下、ドクターマーチン）主催による音楽イベント「DR. MARTENS PRESENTS - LIVE IN TOKYO 2022」が、2022年10月13日（木）、渋谷WWWXにて開催される。本イベントの出演者であるフレンズのえみそん、関口塁が、ドクターマーチンの魅力、そして4人体制になって初のミニアルバム『Superb』、全国ツアーを通して感じたバンドの現在地について語ってくれた。“フットウェア”という枠を超えてカルチャーとともに60年以上にわたり愛され続けてきたドクターマーチン。ドクターマーチンにとって「“音楽“がブランドにおける鼓動」であり、最も重要なブランドアイデンティティの一つになっており、1967年にザ・フーのギタリスト、ピート・タウンゼントがブランドを代表する8ホールブーツ「1460」を履いてステージ上でパフォーマンスを披露したことを境に、ドクターマーチンと音楽の歴史が始まり、ブランドを表現する上で欠かすことのできない要素のひとつとなっているという。
そんなブランドのルーツである音楽を通じてメッセージを発信する、ドクターマーチン主催のライブイベント。今年は“DIVERSITY”（多様性）をテーマに、今の日本の音楽シーンにおいて類稀なる個性と存在感を放ち高い音楽性が支持されている3組が出演する。本記事では、9月24日発売のRolling Stone Japan vol.20本誌に掲載されているフレンズの記事に加え、4人体制になって初のミニアルバム『Superb』ついて、2年半ぶりとなる全国ツアー「フレンズ -Superb TOUR 2022-」で掴んだものについて聞いたインタビューを掲載する。
"その時代ごとに、常にシーンの真ん中にいるアイコニックなブランド”友情や恋愛、日々の生活の機微を多彩な POP サウンドで表現し、ライブでは圧倒的な多幸感を創出し一体感を作る。そんな老若男女問わず、高い人気を誇る神泉系バンドのフレンズ。ヴォーカルのえみそんがドクターマーチンに惹かれたのは、少女漫画がきっかけだった。
「矢沢あいさんの『NANA』に出てくるんですよ。『うわ、このシューズカッコいいな』と思って、子供の頃から憧れのブランドでした」。今や普段使いするだけでなく、ソロライブでも必ずドクターマーチンを履いており、彼女にとっては楽器と同じようになくてはならないアイテムとなっている。「シンプルにカッコいいし、ライブだと履くだけで無敵になった感覚を得られるんです。あと、普段はワンピースに合わせることも多くて、ガーリーな服装にもマッチするので重宝しています」
えみそん AUDRICK 20I 20 ホール ブーツ 41,800円（税込）
ドラムス＆コーラスの関口塁は自身の好きなアーティストが身につけていたのを見て、ブランドの存在を知ったという。「10代の頃、パンクに惹かれたタイミングでドクターマーチンと出会いました。70年代はパンクバンドの間で親しまれていたし、グランジが流行った90年代はPEARL JAMのエディ・ヴェダーがよく履いていた。音楽とファッションは密接な関係だと思うんですけど、その時代ごとにいろんなアーティストの間で愛用されていて、常にシーンの真ん中にいるアイコニックなブランドですよね」
塁 JADON 8ホールブーツ 33,000円（税込）
フレンズは新体制になって約1年が経つ。えみそんは充実感を口にした。「これまではポップで可愛い感じを見せてきましたけど、ここに来てカッコいい部分も見せたいと思うようになりました。是非、Superb（最高）な私たちのライブを観にきてください」
DR. MARTENS PRESENTS - LIVE IN TOKYO 20222022年10月13日（木）渋谷WWWX
開場：17:45 / 開演：18:30
出演者：ALI / フレンズ / w.o.d.
チケット先行販売：e+
https://eplus.jp/dr.martens-2022/ （8/8 12:00～8/14 23:59）
一般販売：e+、 ぴあ、 楽天、 ローソンチケット（8/20 12:00～）
企画・制作：シブヤテレビジョン
協力：WWWX
*本公演は政府及び自治体等のガイドラインに従い、 新型コロナウイルス感染予防と拡大防止のための最大限の対策を講じた上で開催することを予定しております。
INTERVIEW：フレンズとしての現在地「自分たちが“Superb（最高）”と言える音楽を作る」7月6日に4人体制になって初のミニアルバム『Superb』を配信リリースし、2年半ぶりとなる全国ツアー「フレンズ -Superb TOUR 2022-」を成功させた、フレンズ。ミニアルバムのタイトル通り「自分たちが“Superb（最高）”と言える音楽を作る」という実直な考えのもとに制作された今作は、どのようにして生まれたのか。そしてツアーを通して、掴んだものとは？ ボーカルのえみそん、ドラマーの関口塁にバンドの現在地を聞いた。
―今年7月から8月にかけて、2年半ぶりの全国ツアー「フレンズ -Superb TOUR 2022-」を開催しましたが、お二人はどんな手応えを感じましたか？えみそん：久々に行く土地も多かったですし、お客さんの顔を見てライブができるのは、改めて貴重なことだなと思いました。大勢の方に音楽を届けるという意味では、配信ライブもすごい好きなんですけど、やっぱり対面して歌うことの喜び、反応、レスポンスが返ってくる面白さをヒシヒシと感じられたライブだったなと思って。ツアーを経験できたからこそ、メンバーのグルーヴ感も格段に上がったなと感じています。
関口：コロナ禍になって、2年半近くライブができなかった中でやっと7箇所だけでしたけど、全国ツアーができて。ファン、スタッフ、ライブハウスの方々など、自分たちが誰に支えられて音楽をやっているのかを痛感しました。
―アーティストにとってライブをすることが日常で、ライブハウスにスタッフやお客さんがいることが当たり前だったところ、コロナ禍になり、これまでの当たり前がいかに尊いことだったのかを痛感しますよね。関口：ベースの長島涼平くんがMCで「コロナ禍でどうしても経営が続けられなくなったライブハウスもある中、こうして続けてくれて、そこに僕らを立たしてもらえるのはすごくありがたいことで……」という話をした時、僕もすごいグッときちゃって。そういう感謝の気持ちをパフォーマンスで示したいと思いながら、7箇所を回りましたね。
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―ツアーを振り返って、印象に残っている場面はありますか？えみそん：コール＆レスポンスができないので、手拍子のレスポンスを促したんです。最初の方は優しくやっていたんですけど、徐々に私のS気質が出ちゃって、間が多めのめちゃめちゃ難しい手拍子をやったんですよ（笑）。全員の拍手が揃った時の一体感というか、体育祭の団体競技が成功した時のような、全員の心が通じたあの瞬間はぶち上がりました！
関口：4人体制になってから、えみそんがギターを弾く機会ができたんですけど、めちゃくちゃエモーショナルに弾いて歌うんですよ。それを見て、ライブ中に上がったというか「命削ってんなあ！」という感動を覚えたんです。
―何が心に触れたんでしょう？関口：ライブの時にギター持って歌うと、明らかに何かが憑依してるんですよ。
えみそん：あははは、憑依型。
関口：憑依型であり、イタコ系ギタリストだと思う。フレンズってポップな感じが強いんですけど、その時はすごくエモーショナルでロックな感じがあって。後ろでドラムを叩いてて印象に残りましたね。
えみそん：背中から伝わってるのめっちゃ嬉しい！ 背中で語るってカッコいいですよね⁉︎
関口：ゴリゴリに出てるよ。オーラみたいなブワーって出てる。
えみそん：ドラゴンボールみたいな。
関口：そう、スーパーサイヤ人みたい（笑）。あと、演奏のことじゃないですけど、ドラムの前にアクリル板がありまして、えみそんがそれを鏡の代わりにしていたんです。
一同：（笑）。
関口：アクリル板越しに目が合うと恥ずかしい気持ちになって。それが今回のツアーでめっちゃ印象的でしたね。
えみそん：根がギャルなんで5分以内に鏡を見たくなるっていう（笑）。そしたら「アクリル板、ちょうどいいじゃん」と思って、塁くんと目が合うたびに、私の顔が塁くんになるんですよね。これは人力SNOWだなと思いました。
関口：俺はただ恥ずかしいだけなんだけどね（笑）。「どこを向いたらいいんだろう？」みたいな。
えみそん：目が合うたびに、そらされるなとは思ってました（笑）。
―ちなみに、アーティストさんにインタビューすると「新譜のリリース前にどういう作品ですか？って聞かれると自分でもまだ消化できていなかったり、そもそも人前で演奏していないから答えづらい」という意見を聞くことあるんですね。ツアーを経て、改めて『Superb』の見え方が変わったりとか、確信を持ったことはありますか？えみそん：ライブをやる前後で、全曲とも違った色が見えたなと思うんですけど、特に「cruising memories」は変化が大きかったですね。作っている段階では、自分の個人的な思い出を巡っていく内容であったり、フレンズの歴史だったりが図らずも入っている曲だったんです。だけど歌ってみて「この曲には、お客さん一人ひとりの思い出が投影されているんだな」とか「出会えた人はあなただったんだ」と歌いながら思いました。
―ツアー初日のLIQUIDROOMで「cruising memories」を披露している最中、フロアで泣いてる人がいましたよね。えみそん：あ、そうだったんですか！
―そうなんですよ。その人の中で、胸にくるものがあったんだろうなと思いました。えみそん：そうやって深く理解してくれるのは嬉しいですね。
関口：えみそんが言ってくれた通り、実際にお客さんの前で演奏したことによって、いろんな側面が見えたのはありましたね。4人体制になってから初めてのミニアルバムなんですけど「4人の等身大がめちゃくちゃ詰まってるな」と演奏しながら思いましたね。
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―等身大ですか？関口：今のフレンズのすごく濃い部分が出ている。背伸びもしていないし、伝えたいこと、やりたいことっていうのが、ぎゅっと詰まっていて「2022年上半期のフレンズはこれです！」というのが表れているなって。どんどんフレンズはパワーアップしていくと思うし、そんな過渡期に生まれた『Superb』の曲達はすごく特別。それがライブをやってくうちに、より濃くなった印象があります。
―今作は「夜は嫌い」から始まって、ラストに「朝が来た」で締め括られるから一夜の流れを表してんじゃないか、とか。バンド結成7周年記念日に先行リリースした「cruising memories」は、紆余曲折あったバンドのドラマを描いていた曲じゃないか、とか。リスナーの中でいろいろな考えを巡らせていますよね。その状況が面白いなと思っていて。えみそん：そうですね。今回は「みんながやりたいようにやろう」という考えをもとに、制作に臨んだので、自分の内面が出しやすい環境だったんですよ。それに、これまでの歌詞はフレンズとして書くことが多かったんですけど、今回はおかもとえみとして出した言葉が多めでした。
関口：それによって、良い意味でシリアスになってるのかもしれないですね。
―制作当初、作品全体のイメージやテーマはどんなことを考えていたんですか。えみそん：楽曲を作った時期がバラバラだったので、特にテーマは決めていなかったんです。だけど、全て録音した後にアートワークをやってくれたnanamelonちゃんから「まるで一夜を表しているような流れになっていますね」と言われて「あ、確かに！」と思ったんですよね。だから偶然が重なった感じがしているんです。強いていえばタイトルの通り、みんなが「最高！って言える作品」を大事に作っていたので、そこが1番の軸になっていたよね。
関口：そうだね。４人が「めっちゃいいじゃん！ってなる音を入れよう」という感じだったので、元々のコンセプトっていうのは、本当にタイトルの通りだったんです。『Superb』が出来上がってから、聴いてくれた人たちの見解に、逆に僕らがハッとさせられたことが結構あって。
えみそん：面白いよね！ 自分にはなかった解釈が加わると、また新しいパワーになるしね。
―リード曲「cruising memories」はどのようにして生まれたんですか。えみそん：コロナの自粛期間が始まった頃に「なにか曲を作らなきゃ」と思って、ギターリフから作り始めたんです。歌詞については、部屋のクローゼットを見た時に「これは初めてクラブへ行った時に着ていた服だな」とか「この服のシミはデート中にコーヒーをこぼした時のだ」とかエモみを１着１着に感じつつ、部屋を片しながら思い出を巡っていたら生まれましたね。
関口：デモは2年くらい前からあったんです。フレンズあるあるなんですけど、その時にやろうぜ！とはならなくても、次の作品で収録されるケースも多いんですよね。4人とも久々に「クルメモ」を聴いた時に、そのモードだったんでしょうね。「これやろうぜ！」っていう。くさい言い方をすれば“4人の波長”がパンってあった。
えみそん：そこからワンコーラス以降は、もっと広い意味でフレンズのこれまでを反映しながら、思い出を振り返る方に歌詞の内容をブラッシュアップしました。
関口：演奏に関しては、単なる激しさとは違う、エモーショナルなドラムを叩きたいっていう気持ちでレコーディングしました。その結果、えみそんの歌詞と相まって、今までにないシリアスな雰囲気の楽曲になって良かったですね。
―「U.L.K.」はセカイイチの岩崎慧さんと、PARKGOLFさんがコライトで参加されているんですよね。えみそん：これもワンコーラスだけ先に作っていて「もう1段階、開けた展開にしたいよね？」ってクルーみんなで話していたんです。（三浦）太郎くんが前々から「色んな人とコライトしてみたい」と言ってたので、誰に頼もうかなって考えた時に思い浮かんだのが岩崎くん。元々、セカイイチのエモーショナルなんだけど、明るくて潔いメロディーラインが好きで、じゃあこれを機に岩崎くんに頼んでみようと思って。私は電話がめっちゃ苦手なんですけど、思い切って連絡をしたら快く引き受けてくれました。それで「こう開けてぱっと耳に残るものが欲しいです」と曲のイメージだけ伝えたら、バッチリな素晴らしいメロディを送ってくださって。パーゴルちゃんには、全体的なトラックのプロデュースをしてもらいまして「こんな音像が合うんじゃない」とか「もうちょっとざらっとした音も合いそうだよね」と提案してもらったおかげで、楽曲に新しいエッセンスが加わりましたね。
―歌詞について触れると、言葉のトーンは重いというか暗めですよね。えみそん：そうですね。歌詞はどん底のお先真っ暗で「マジ最悪！」みたいな感じになっています（笑）。
―サウンドとの対比がすごく魅力というか。えみそん：あそこまでマイナスな言葉を浴びせられることも、言うこともないですからね（笑）。それもあって、逆にサウンドは明るくなりました。そもそも愚痴って吐き出すと明るくなれるじゃないですか？ それの代名詞みたいな曲になるといいなと思ってます！
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―どういうモチベーションで書かれてたんですか？えみそん：私はBADモードに入る時はどっぷりなので、それを憑依型じゃないですけど「ちょっと下ろしちゃおうかな」みたいな感じで書いたのかな？ ふふ、どうやって書いたんだろう？ 本当に暗い、もう最悪って思いながら書いた記憶があります。
関口：僕はRadioheadが好きなんですけど、暗い曲に暗い歌詞をはめるのは、普通にあるあるじゃないですか。でもトラックがめっちゃ明るいのに、歌詞のラインがめっちゃ暗いみたいなのはあんまりないからすごく面白いなと思うし、『Superb』の中でも1番歌詞に耳が行く曲だと思います。チャレンジをしてる曲だなと思いますし、かつすごいポップですし、めちゃくちゃ良いんですよね。プレイしていてもすごく楽しいですよ。しかも振り付けがあるしね。
えみそん：そうそう！ ライブ用に振り付けを考えました！
―ちなみに、タイトルはどういう意味なんですか？えみそん：「UNLUCKY」の文字をちょっとつまませてもらって、間に点を挟ませてもらいました。
―だからか！ スラングなのかなと思って調べたんですけど、出てこなくて。えみそん：あ、嬉しい！ スラングっぽいですよね。
関口：なってくれたら嬉しいよね。
えみそん：確かに、海外で流行るかもしれないですよね。これは見えたね！
―今回はエンタメ性も批評性も高い作品ですけど、改めて『Superb』はどんな作品になったと思いますか？えみそん：みんなの良いところが詰まった作品ですし、まさに「フレンズって最高だな」と胸を張って言える、自信がついた１枚になったと思います。4人になってから試行錯誤したり悩んだりする日も多かったんですけど、『Superb』が完成したことによって、また一つ強度が増したなと思っています。
関口：タイトルの通り、この4人で素晴らしいものができたなって思うし、さっきも言ったみたいに今の僕らの最高傑作になったと思います。フレンズはもっと“最高”になっていくと思うので、今のSuperbを大事にしつつ、もっと大きなSuperbな音楽を作っていきたいと思います。
『Superb』フレンズ
配信中
Lychee Label
フレンズえみそん（Vo）、三浦太郎（Gt,Vo&Cho）、長島涼平（Ba&Cho）、関口塁（Dr&Cho）からなる男女混合神泉系バンド。友情や恋愛、日々の生活の機微を、キャリアもルーツも違う4人の絶妙に絡み合うグルーヴと多彩なPOPサウンドで表現している。
https://friends-jpn.com/
