eillが語るネクストステージ、BE:FIRSTとの出会い、映画とのコラボから得たもの

eill

9月4日開催『Rolling Stone Japan LIVE 5th ANNIVERSARY SPECIAL Supported by Tポイント』に出演してくれるeill。9月7日には、映画『夏へのトンネル、さよならの出口。』の主題歌と挿入歌を収録したEP『プレロマンス/フィナーレ。』の発売が決定。過去にリリースした名曲「片っぽ」のアコースティックバージョンも劇中に起用されており、1本の映画でeillの音楽が複数回流れるという、映画とeillのスペシャルなコラボレーションになっている。

【動画を見る】「プレロマンス」のオフィシャルリリックビデオ

そしてeillといえば、同じく『Rolling Stone Japan LIVE 5th ANNIVERSARY SPECIAL』に出演してくれるBE:FIRSTが8月31日にリリースしたアルバム『BE:1』の中から、2曲(「Betrayal Game」「Message」)のソングライティングに関わっている。

このインタビューではeillの「ソングライター」「アーティスト」の両側面から、彼女が今どんなことを考えながら音楽と向き合っているのかを掘り下げた。eillは、R&Bやモータウンなどをルーツにしながら、J-POPとK-POP、UK、USの音楽的要素をバランスよく組み合わせた、時代を牽引する音を生み出す知識と感性を持っていて、その上で、心から溢れ出るもの――このインタビューで何度も彼女が口にした言葉でいうと「ヴァイブス」――を、キャッチして音楽に変換するスキルも持ち合わせている。

コンテンツ過多、かつ、情報や素性を隠しきることが難しい現代社会において、取り繕ったものは見透かされ、作品に溢れ出ている作り手の「熱量」や「楽しい」という素直な感情こそがダイレクトに受け手の心を動かすようになっていると思う。だからこそ、現行のグローバルシーンと近い距離にあるeillの感性と、10代の頃から培ってきた歌やソングライティングのスキル、そして彼女の「ヴァイブス」を大切にする姿勢が今、世に求められているのだろう。

―eillさんに初めてRolling Stone Japanに出てもらったのは3年前ですね。


Photo by Kazuki Iwabuchi, Photo Direction by Hiroaki Nagahata

eill:faith(原宿にあるセレクトショップ)で撮影しましたよね。(写真を見て)……なんかギャルい!(笑)

―(笑)。まだちょっと強がっていたというか、今見ると武装している感じがありますよね。

eill:わかります。「舐めんなよ」感が強い(笑)。確かにこのとき……2019年だから、めちゃくちゃ負けず嫌いだったんです。何に対してかはわからないんですけど、「何かに絶対に負けない」みたいなマインドで、作る曲もそういう曲が多くて。去年、一昨年で弱さを認めることや、自分を守ることも必要だと気づいて、書く曲も変わっていったのかもしれないです。

―このときのままだと「palette」みたいな曲は生まれなかっただろうし。



eill:そうですね。でも、そのマインドの自分も結構好きだから、最近はどうやったら取り戻せるかなって考えています。このときは「何にも負けたくない」「自分にも絶対に負けたくない」みたいな気持ちだったけど、「自分を守れるのって、自分しかいなくない?」ということにこの3年くらいで気づいて守ることを覚え始めたから、今守りがち……それもきっと戦うということなのかなとは思うんですけど。

―うん、戦い続けるには守備も大事だから。

eill:今年の下半期は、それこそ今回主題歌を起用していただいた映画『夏へのトンネル、さよならの出口。』でも「共同戦線」という言葉が出てきますけど、「みんなで戦う」ということを目標にしてみようかなと思っています。そのために、旗を持っているリーダーである自分が「行くぞー!」という気持ちじゃないとなって考えているところです。渦みたいな勢いが作れたらいいなと思ってます。

―この3年間を振り返ると、すでにいろんな渦を巻き起こしてきたとも思いますけど、eillさんの中で現状「達成感」と「まだまだ」という気持ちはどれくらいの比率でありますか?

eill:不思議なんですけど、憧れていたはずの場所に立つときって、必死だから達成感とかがないんですよ。しかも次の日には次のことを考えないといけない。だから「走ってきた」という感覚が強いんです。でも最近お休みをもらって、そのときに自分と会話をしてみたら――「どうなんですか、最近の自分は?」って聞いたときに、「結構満たされてます」という感じだったんですよ。

―とてもいいことですね。

eill:まだまだだなって思うこともあるんですけど、後悔なく進んできた感覚はすごくあります。悲しいこととかもありましたけど、それも含めてよかったんじゃないかというマインドです。

―夢や憧れが叶ったときの、ただハッピーな感情に浸れるわけではないリアルな気持ちについては、このあいだAile The Shotaさんのインタビューでも近いことを話しました。

eill:Shotaくんとは、お互いの悩みを話したりします。同世代で同じフィールドでシティポップをやってる子があんまりいなかったから、貴重な友人で。それこそボイストレーニングの先生も耳鼻科も一緒で。二人とも、声量というよりはニュアンスを大事に歌う系で、ウィスパー感が強いというか「空気半分、声半分」という感じなので、結構喉を消耗するんですよ。なので「どういうふうに歌ってる?」って話したり、最初にひっかける歌い方とか大事だよね、とか……そんな歌の話をしますね。

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