BREIMEN・高木祥太の新連載、開宴します

高木祥太(Photo by Seiya Fujii, Hair and Make-up by Riku Murata)

BREIMEN・高木を中心に様々な職業・立場・価値観の人が集う場所「山一」。BREIMENが昨年立ち上げた映像コンテンツ『赤裸々SESSIOONe』の拡大版として、普段山一で繰り広げられているような、人間の赤裸々な部分も見える会話をお届けする新連載がスタート。まずはご挨拶と、この連載の編集担当・矢島と山一の仲間たちで「高木祥太」を赤裸々に掘り下げます。

※この記事は現在発売中の「Rolling Stone Japan vol.19」に掲載されたものです。

誰でも迎え入れる家

ーまず読者に向けてこの「山一」がどういう場所かという話からしましょうか。

高木 そうですね。俺は近所に引っ越したんですけど、今はSoちゃん(BREIMENのドラム、So Kanno )と、BREIMENのMV監督を「2025」名義でやってるハマイバと、ゴンというやつがここに住んでいます。BREIMENのみんなで打ち合わせをすることもあるけど、いかんせん場所が(都内から)遠いから、BREIMEN自体がここにたまっているというよりはむしろ俺とBREIMEN周りが多い気がする。そういう意味ではBREIMENのひとつの核の場所でもあるし。

ー最初は誰が住んでいたんですか?

高木 もともと俺が、三人兄弟の三番目のリュウタと住んでいて。俺は一番上なんだけど。

ー祥太さん、長男だったんですね。

高木 ハマイバが地元に帰っていたところを呼び戻してMVを撮ってもらって。そのときは、旧体制のBREIMEN(無礼メン)の「クリスマスボッチ」と、俺が前にやっていたエドガー・サリヴァンの「Fight at Tokio」だっけ?





2025 うん、そうだね。

高木 そのタイミングで呼び戻したけど、こっちに家がなかったから「じゃあ、いったん俺ん家いる?」みたいな感じで、まずハマイバがジョインして。そこから……これ、全部説明したらすごいことになるんだけど(笑)。いろんな人が入れ替わり立ち替わり、パラサイトのように(笑)。マネージャーの(藤井)純平も住んでたことあるし。

純平 そう。

高木 純平はコロナで暇になってうちに来るようになった流れで、BREIMENのマネージャーになったんだけど。住んでいる人が変わるごとにシーズンを設けるとしたら、多分今、6か7くらいだよね。ここにいる(高木の隣に座っている)ゴンは、もともと俺の二番目の弟・ケンタの大学の同級生なんだけど、いつの間にかここに住んでいて。

ーいつの間にか住んでるなんてあるんだ(笑)。

高木 ゴンが最初にここへ来たのは大学卒業したくらい?

ゴン うん、卒業して何もしてない時期。

高木 最初は、英語が得意だからBREIMENのMVの字幕に出す翻訳を頼んでたけど、今はレコード会社で働いてる。ケンタはここから3分くらいのところに住んでて、よくここにも来る。ケンタもまだ大学生だった頃からここらへんと絡んでいて、あるときは純平のアシスタントで舞台制作を手伝ったりして、最終的に今はハマイバの弟子みたいな感じでMVを撮るようになった。

2025 弟子というか(笑)。今はTOKIO TOKYOでも働いてますね。

ーあ、そうなんですね。

純平 めちゃくちゃ器用なやつなんですよ。

ーじゃあ、いろんな人の人生のターニングポイントがこの部屋で生まれているんですね。

高木 結果的にそうなってるのかもしれないです。前回のアルバム『Play time isn’t over』のジャケに写ってる人たちは全員ここに来たことあるし、住んでたやつもいるし。トキワ荘みたいに全員が漫画家みたいなことじゃなくて、音楽と関係ない人も全然いて、俺の高校からの親友の画家がいたり、まだ何をするか定まってない人もいたり。コロナのときに、みんな暇だし、寂しいし、ここら辺はずっと一緒に行動していて。ある意味この部屋の歴史のピークだった気がする。そのときにできたアルバムが『Play time isn’t over』で、それを切り取れたことにはすごく意味があったと思う。

2025 俺は今でもずっとピークだと思ってるよ。終わった場所みたいに思ってる?

高木 いやいや思ってない!(笑)。ピークじゃないかもしれない。いつがピークかって、あとからしかわからないから。

ー確かに。

高木 ここの家って鍵をかけないんですけど。それは俺の実家がずっとそうだったからで。「誰でも来ていい」って言ったら変な人が来そうで怖いけど(笑)、たとえば俺が帰ってきたら全然知らない人が二人くらいいて「あ、こんにちは」みたいなことも全然あって。話を聞いたら誰かの友達だったり。そういうことがたくさんある場所ですね。

ー鍵を開けてまで誰でも受け入れたいというのは、なんで?

高木 誰でも受け入れたいというよりは、基本的には別に誰も拒まない。でもね、結局、ある程度合う合わないは絶対にあって、こっちが拒まずとも合わない人は自然と来なくなる。基本的に「来るもの拒まず、去る者追わず」という形を取っているだけというか。でも確かになんでみんなを家にあげるんだろうな……面白いからかな? 別に本当に目的も何もなくて。何かを作るためとかじゃなく。

ー作品作りや仕事のため、みたいな打算的なことじゃなく。

高木 そう、じゃなくて。でも元を辿ると親の影響が大きいのかなとは思う。そもそも俺の実家も鍵をかけない家で。俺が小学生のときに、中田くんっていうノイズミュージックの作曲をする、当時22歳くらいの狂った若者をうちのお母さんが居候させていたり。俺が高校生のときは、同級生の親がネグレクトで食べるものもコンビニ飯ばっかりでみたいな話をしたら、「じゃあ住めば?」って住まわせたり。俺が高校のときに付き合ってたミキティっていう彼女も……。

2025 ははは、めっちゃ言うじゃん(笑)。

高木 (笑)。彼女の家も母子家庭で親が病院勤務で食う飯がないって言ったら、うちのお母さんが「じゃあ住めば?」みたいな感じで。血縁とか関係ない人が常に家にいて、一時期、俺の実家の表札が4個だったこともあって。

ーすごい(笑)。仮住まいとかじゃないんだ。

高木 お母さんに話を聞くと、そもそもおばあちゃんの代からそうだったらしくて。お母さんが子どもの頃、実家には満州帰りの一家が離れに住んでいたらしく。最終的に金を持ち逃げされたらしいんだけど、でもうちのおばあちゃんは「全然それでいい」みたいな。そんな家系なんだと思います。そういう雰囲気で俺がハマイバを呼んだりしていたら、それが連鎖していって、今俺はここに住んでないけどハマイバもここにいるときは同じようなスタンスだと思うし。

2025 うん、そうだね。別に祥太の家族の話を聞いて「よし継承していこう」なんてことは思ってないけど、ただただ空気として引き継がれている感じ。

ー2025が監督した「赤裸々」のMVは、この部屋のイメージですか?

2025 完全にそうです。

高木 まさに。特に人がたくさん集まっていた時期は、なんて言うんだろう……人が増えれば増えるほどいざこざも起きるし。社会の成り立ちみたいなものがここで起きていた気がする。二人とか三人なら話し合えることもあるけど、そのときは10人以上いたりしたから。そういうこともありましたね。



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