ビーバドゥービーが語る作曲術、ビートルズ、サマーソニック「日本へ行くのは全人類の夢」

ビーバドゥービー(Photo by Erika Kamano)

 
今夏のサマーソニックで初来日を果たすフィリピン生まれロンドン育ち、オルタナ感のあるギターポップを2000年生まれの感性で奏でる「Bea」ことビーバドゥービー(beabadoobee)が、2ndアルバム『Beatopia』をリリースする。今作にはThe 1975のマシュー・ヒーリーとジョージ・ダニエル、プライベートでも交流の深いピンクパンサレス(PinkPantheress)など豪華ゲストも参加。60年代〜90年代まで様々な音楽のエッセンスを融合しながら、エバーグリーンなメロディを作り続ける彼女のクリエイティビティは一体どこから来るのか。新作を紐解きながら、その作曲プロセスにも迫った。


─前作『Fake It Flowers』はバンドアンサンブルを基軸とした作品でしたが、今作『Beatopia』はアコースティック楽器を中心とした曲や打ち込みを導入した曲もあり、よりパーソナルかつバラエティ豊かな内容になりました。こうしたサウンド面での変化はどのように訪れたのでしょうか。

Bea:その変化は、私が成長したことで自然にもたらされたものだと思う。今の私は、前よりも少し大人になって、自分自身でいることにもっと心地よさを感じられるようになった。だから以前よりもくつろいで音楽を作れるようになったし、それがサウンドや自分が何を作るかにも表れているんじゃないかな。

それに、『Fake It Flowers』の時は特定のジャンルにしばられていた。バンドサウンドやロック、ポップスであることなどにこだわりすぎていたというか。でも『Beatopia』を作っている時は、自分のクリエイリティビティに対して不安がなかった。曲によってはドラムマシンを加えてみるなど、思いついた新しいアイデアを全部試してみるだけの心の余裕があったと思う。しかも親友のジェイコブ(・バクデン:プロデューサー/バンドのギター担当)がいてくれたから、「自分がやりたいことは何でもやってみていいんだ」という心地よさがあったんだよね。



─アルバムは、あなたが7歳の頃から抱き続けているファンタスティックでパーソナルな想像の世界を表現していると聞きました。それは具体的にどのようなもの?

Bea:ビートピアという世界には、なにか特定のコンセプトがあるわけではないの。自分自身の内側の世界……自分自身でいることができる、安心できる場所というか。つまりどんな人でも自分の中にそれぞれのビートピアを持っていて、それは真の自分を理解し受け入れることにつながる場所でもある。

ちなみに、私が7歳の時に考えついたビートピアは、クレイジーでオルタナティブな世界だった。いろんな街が存在し、そこに住む人々もみんなタイプも違えば来ている服も様々。人間だけじゃなく、モンスターや妖精、ミステリアスな生き物がたくさんいて。実際の世界には存在しない、自分の頭の中で想像する全てがそこにあるような場所だった。

─そんなあなただけのビートピアを象徴する楽曲を、アルバムの中から選ぶとしたら?

Bea:「See You Soon」ね。あの曲ではビートピアの世界がより濃く表現されていると思う。もちろん、アルバムのどのトラックもビートピアであることに間違いないのだけど。例えば「tinkerbell is overrated」のちょっと変わったサウンドもそう、あの曲の風変わりな歌詞もビートピアっぽい。

─「See You Soon」はどのようにして生まれたんですか?

Bea:あの曲を作った時は、マッシュルームでハイになってたんだ(笑)。よく知られているように、マッシュルームでハイになるといろんなことに気づく。私もその時に、それまで気づいていなかった自分の人生についての色々なことに気づかされたんだよね。それを現実の生活でも活かしたいと思った。「See You Soon」は、「孤独でも大丈夫。それは自分にとって何が心地よいのかを探求するために必要な場所であり、大切な時間」ということを歌った曲なの。



─そんなアルバムのコンセプトにちなんで、あなたがこれまでに思い描いた最もポジティブな想像と、最もネガティブな想像をそれぞれ聞かせてもらえますか?

Bea:これは難しい質問だね(笑)。想像って沢山するものだから……10代の頃は暗い想像が多かったな。ネガティブというか、悲しい想像。でも今回は、ポジティブな想像について話そうと思う。私が思い描いたポジティブな想像は、私が人生で心から望むもの。看護師になった自分や、教師になった自分、そして快適に暮らして愛する人と一緒にいる自分。私の人生のビジョンって、けっこう典型的なんだよね。みんながよく思うようなハッピーライフを私も望んでいる。

─難しい質問に答えてくれてありがとう。ところで、今作にはThe 1975のマシュー・ヒーリーとジョージ・ダニエルが客演としてクレジットされていますよね。レーベルメイトでもある彼らは、あなたにとってどのような存在ですか?

Bea:2人はインスピレーションの源。マッティのアドバイスはいつだって的を射ているし、本当に多くを学んでいるから「メンター」みたいな存在ね。ジョージは、私がこれまでに会ったアーティストの中でも最も才能あるアーティストの1人。彼のことは心から尊敬しているし、何を作り出すのかいつも楽しみなの。もちろん、アーティストとしてだけでなく人間的にも素晴らしい2人だから、本当に大好き。マッティは「You’re Here That’s the Thing」と「Picture of Us」のライティングを手伝ってくれて、「Picture of Us」はもともとマッティの曲だったのだけど、私にくれたんだよね。

─「tinkerbell is overrated」にはピンクパンサレスが参加していますよね。どんな経緯で実現したのでしょうか。

Bea:彼女とは以前一緒にセッションをしたことがあって、その時も1曲出来たんだけど残念ながらリリースされなかったんだよね。でも私たち同世代だし、2人ともロンドンに住んでるし、すぐに意気投合して友達になった。すごく気さくでチルな子だしね。もちろんアーティストとしてもリスペクトしている。彼女が作るメロディは唯一無二だから、聴けばすぐに彼女の曲だってわかるんだ。「tinkerbell is overrated」は、出来上がった時に私もジェイコブも「この曲にぴったりなのは彼女しかいない」とすぐに分かった。それで彼女に参加してくれるよう頼んだの。

Translated by Miho Haraguchi

 
 
 
 

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